第8章 雲掴む志と風 【R18】
廊下を出たところで女中が通りかかり、めいの居場所を尋ねると湯殿へ言ったと分かった
「めい様は、どうしても湯殿へ行きたいと言われまして。熱も引いておりましたので、今、入っておられると…」
(ほんと目が離せない)
申し訳なさそうに告げる女中に分かった、と告げ一度自室へ戻り、家康も湯殿へ向かった
湯殿へ行くとめいは幸せな顔をして湯に使っていた
「はぁー。やっぱりお風呂って幸せー」
髪を束ね肩に首に、お湯をかける姿がとても色っぽく、家康の理性を崩しかける
(だめだ。無理はさせられない…ここで身勝手に抱いたら…)
平然を装い何事もなくめいの方へ歩み寄ると
「い、家康!?どうしてここに!?」
目を見開き動揺を隠せないめい
「俺の御殿だから、俺がここにいてもおかしくないでしょ?勝手に湯殿へ来て、倒れたらどうすんの?」
「だ、大丈夫だよっ…もう、熱も下がってるから…」
「だめ。まだ完全に治ってないんだから、大人しくしてなよ」
自分の方へぐっと引き寄せ湯の中で横抱きにし閉じ込める
「ごめんなさい…勝手に来ちゃって…」
胸に寄りかかり、しゅんとまつ毛を伏せる
(怒るつもりじゃなかったけど…言いすぎた)
「別に怒ってない。あんた、危なっかしいから俺が体洗う」
「え!?で、でも…」
「いいからこのまま捕まってて」
膝裏を抱えそのまま立ち上がると、落ちないように慌てて家康の首に腕を絡めた
木で出来た腰掛に座らせると家康は小さな瓶を持ってきた
(佐助とか言う忍びがくれたっけ、これ)
昨日の事、佐助は家康の元を訪ねてきた。めいと同じく500年後の世から来た男。敵将上杉謙信に仕えるが、家康を心から尊敬していると言う、家康からすれば変な男である
「家康、それ何?」
「佐助とか言う忍びがくれた。髪を洗うのに使えって。めいに言えば分かるとか言ってた」
「シャンプーの事かな…」
「しゃんぷー?」
「あ、うん、500年後の日ノ本で使われてる髪と頭皮を清潔に保つためのものだよ」
何とか家康に説明し終えると、早速濡れためいの髪に中の液体を手に取り髪になじませた
泡立ちはしないが、柑橘の爽やかな香りが立ち込め、指の腹で頭皮を優しく刺激すると気持ちよさそうにしている