第5章 天仰ぎし恋と愛 【R18】
秀喜は何か言いたげな顔をしている
「なんだ、秀吉」
「あ、いえ、その…」
抜の悪そうな顔をする秀吉だが、腹をくくり口を開いた
「実は、信長様が出られてから、目を赤く腫らし思いつめた顔をしておりまして…昨夜は寝言をを申しておりました」
ーー信長様のお側にいちゃいけないのーー
「おなごの部屋に夜分に勝手に入るのは如何かと思い、襖を少し開け様子を見てその日は去りましたが…」
何があったのかと、心配の色を滲ませる秀吉
「そうか…礼を言うぞ」
話を切り替え軍議の準備に取りかかった
夕餉を部屋でとることになった
一人、部屋で食べるご飯。現代にいた頃は一人暮らしだったため、慣れているはず…
だが、味気なく美味しさも半減してしまう
ことある事に思い出す愛おしい男の顔
(ダメだ、全然箸が進まない…)
女中に体調が良くないと断りを入れ、出された膳を片付けてもらった
静かな部屋にただ一人、気づけば涙がこぼれ落ち褥を濡らしている
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軍議を終えた終えた信長は天守閣へ戻った
(めいは何処へ行った)
辺りを見渡すがめいの姿はない。着物も夜着も全てがなくなっている事に気づく
何かを察した信長は天守閣を後にした
「めい、おるか」
着いた場所はめいの部屋。明かりはついておらず、声をかけるが返事はない
襖を開けるとめいは横になっていた。近づいてみると目には涙が残り泣き疲れ寝た様子が伺える
(めい)
そっと横抱きに、信長は部屋を出た
(んんーっなんだか、温かい…)
薄っすらと目を開けると眠ってしまったのだと自覚する
(私…寝てたんだ…)
身じろぐと誰かが抱きしめている。温かくて大好きな香りが鼻をくすぶる
ふと顔をあげると信長に抱きしめられている
「の、信長…様!?」
「気づいたか」
目の前には愛してやまない男の姿が…
額にかかる髪をそっと寄せ、優しい口付けを落とされた
「貴様、何故泣いておった」
「……」
顔を下に向けると指で顎を掬われた
「めい…」
また涙が零れ落ちる
(ダメ、言っちゃいけない…)
頭をブンブン振りその場を離れようとするが、両腕を褥に縫とめられた