第1章 不器用な花と蜜 【R18】
「さて、まだ謙信と落ち合うには時間があるな。佐助、甘味処へ行くぞ。」
「程々にしないとまきびしを汁椀に忍ばせますよ」
「おお、怖い怖い、分かっている」
(謙信の家臣は優秀すぎるぞ)
二人の姿は城下へ消えていった
その頃、城へ戻った幸村は迷わずに自室へかけていった
(どこへも行ってねぇだろうな…)
廊下から足音が聞こえる
(誰??こっちに来る…どうしよう……)
やっとの思いで立ち上がった瞬間、勢いよく襖が開く
「めいっ」
「…」
涙を目に溜めためいが目の前にいる
「ゆ…きむ…っ」
名前を呼ぼうとした途端、ぎゅっと幸村に抱きしめられた
「悪かった…」
「あの時、お前、あの中の一人に何か言われたんじゃねぇのか?」
「…」
めいは幸村の胸に顔を埋め肩を震わせて泣いている
「悪かった」
幸村は優しい手つきで髪を梳かしながらあやす
「ゆっ…ゆき…むら…うぅっ…ごめんっね…」
「私、幸村に…不釣り合いだって…分かってる…で、でもね…っっ幸村じゃなきゃ嫌なの…幸村に似合うように努力…す、るか…ら」
精一杯の気持ちを告げると子供のように泣きじゃくる
「おまっ、馬鹿かよ」
「馬鹿って、言わないでっ…」
(しまった…いつもの調子で言ってしまった)
幸村は慌てふためき、めいを抱きしめる力を強くした
「悪い…その、お前のどこが俺に不釣り合いなんだよ」
「だって…」
「だってじゃねえだろ、俺はお前がいいんだ。お前以外いらねぇ」
「言っただろ、お前が敵兵の信長の気に入りだろうがなんだろうが俺はお前に惚れた。敵も味方も関係ない、お前と生きたいから、俺の元に連れてき。もう安土にも500年先のお前の居た時代にも俺は返す気はねぇんだよ」
「めい…」
幸村の真っ直ぐな言葉にめいは顔を上げた
目の前には顔を紅くし、めいを見つめる幸村の姿が映っている
「ゆき…む…んんんっ」
幸村と名前を呼ぼうとしたが口付けで遮られる
優しく下唇を食まれ息をしようと開いた唇の間からスルリと舌が差し込まれる
「んんっ…ふぁぁ」
角度を変えては何度も唇を味わうように降り注ぐ口付けに立って居られなくなる
「ゆ…きむ…っ」
「何も言うな…」