第5章 天仰ぎし恋と愛 【R18】
「おい、政宗、朝餉が冷めるぞ」
「ほら、めいもちゃんと食えよ」
「こら、三成、飯粒が付きすぎだ」
世話焼きの秀吉の声が響き渡る
「ほんと、朝から騒がしい」
黙々と朝餉をとる家康の心底迷惑だと言う一言
(気持ち切りえなきゃ…)
何とか朝餉を食べ終え、一度自室へ戻った
(針子の仕事は休みだし、城下を散歩しようかな…)
ここに居ても余計なことを考えると思い気を紛らわせたかった
廊下からこちらへ向かって足音が聞こえる
「めい、いるか?」
「あ、うん、どうぞ」
手ぬぐいを持った秀吉だった
「ほら、これを目に当ててしっかり冷やせ。そのままにしてたらダメだぞ」
「ありがとう。今日は早めに寝るね」
(優しいな秀吉さん)
「お前、泣いてたんじゃないよな?」
ーーギクッーー
「ち、違うよ!!つ、つい着物作りに夢中になっちゃうからーー」
何か言いたげな顔をしている秀吉だが
「時期に信長は様は帰ってくる、いい子にして待ってるんだぞ?」
何も聞かず頭をポンポンと撫で部屋を後にした
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城下は今日も活気に溢れていた
野菜や果物、香ばく焼きあがった煎餅の香り、樽に入った味噌を売る者
ここは楽市楽座を設けた信長により、皆、思い思いに店を構えている
(皆活き活きしてる。戦国の世だけど、信長様の人柄がこうして城下を支えてるんだね)
ほっこりした気持ちと、信長の事を思い出した事で来る、虚無感…
(だ、ダメだまた考えちゃう…)
足取りが重くなってしまった
だが、城にはまだ戻りたくない。一人部屋に篭れば余計に考えてしまう
頭の中がぐちゃぐちゃになっていた矢先、見覚えのある顔が目に映った
「佐助君ー!」
「めいさん、こんにちわ」
「幸村と一緒にお店出してたんだね」
現代仲間の佐助は時折城下に来て露店を出していた
「おー、めいか、久しぶりだな」
「二人とも元気そうだね」
並べられた簪や帯紐を眺め
「綺麗ーー!」
「信長様が見たらきっと惚れ直すよ」
真顔でサラっと告げる佐助
「信長様は暫く帰ってこないの…」
(し、しまった//)
「ご、ごめん、い、今の聞かなかった事にしてーー//」
(余計な心配かけたくないのに…)