第4章 白夜に映りし碧と翠 【R18】
「もう直ぐ店じまいだから、閉めたら俺達は帰ることになる。今日は信長様も秀吉さんも視察でいないんだろ?」
「え?な、何でそれをーーー!!」
「俺は忍者だからね。そのくらいの事を調べるのは御茶の子さいさいだ」
(さ、流石…佐助くん)
「さっさすがです…ありがとう、支度して行くね」
宿の場所を聞き念のためにと簡単な地図ももらった
「あぁ、ここで騒ぎを起こさないように見張ってて。俺はこれにてドロンするよ」
「うん、ありがとう。あ、この文…」
「謙信様に直接渡してあげて。きっと喜ぶよ」
(直接って恥ずかしいな…)
ひょいと天井に駆け上がり口元を覆った佐助は無言で掌を振り、風のように去っていった
「は、早いーーー。あっ、もう暗くなり始めてる」
サッと支度を終えて足取り軽く宿へとかけていった
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(ここだよね?)
宿に着くと主が部屋を案内してくれた
「失礼します」
(あ、謙信様ーー)
障子を開け、盃をあおる検診の背中か見える
ふっとこちらを向いた謙信と目が合うとその場から動けなくなる
「めいか、どうしたのだ」
「佐助くんに謙信様が来てると聞いたもので…」
恐る恐る声をかけると
「退屈だ酌をしろ」
「は、はいっ//」
襖を締め、緊張しながらも謙信の横に腰をおろした
「ど、どうぞ」
ぎこちない手つきで酌をすればグッと酒を飲みほす
そのひとつひとつの仕草が艶めかしくめいの心を鷲掴みにする
「お前も飲め」
盃を渡され、手に持っていたとっくりを取り上げると謙信は並々と酒を注いだ
「いっ、いただきます」
おずおずと口に運びグッと飲み干せばじんわりと喉を酒が通り過ぎていき、すぐに体を火照らせた
(こんなキツいくお酒を顔色一つ変えず飲むなんて…)
「あ、あの…謙信様…」
「なんだ」
「あ、いえ…何でもないです…」
上手く言葉が出てこない。会いたくて仕方なかった気持ちが混濁している
「つまらんな」
「え?」
「戦は休戦になり腕が鈍る。斬り合い血が流れで初めて生きがいを感じるものを」
(そ、そんな…)
「け、謙信様には戦以外に楽しみや喜びを見つけて頂きたいです」
「そのようなものは何一つない」
謙信の眼差しが一瞬揺れた