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愛を紡ぐ~二人の欠片(カタチ)~

第1章 不器用な花と蜜 【R18】


「あのな、俺はお前達構う暇なんてねぇんだよ」

「いいじゃない、ほら行きましょうよ~」

めいのことに目もくれず強引に幸村の腕をとる女達

その場にいたたまれなくなっためいは堪えきれず幸村に告げた

「一緒に行けば?私、先に戻ってるから…」

「おまっ、ちょ、待てよ!」


(もう、知らない…)

耐えきれず、その場から駆け出すようにめいは去ってしまった

(私なんかより…)


「待てよっ!」



「あら?お連れさんだったの?妹さん?幼い顔の女の子ね」

めい冷たい一言を放った女が口元に俄な笑みを浮かべ幸村に話しかける

「妹さんは帰ったんだし、行きましょうよ」

幸村の腕に自分の腕を絡め胸を寄せる女

その瞬間、幸村の眉間に皺が寄り女を引き剥がす


「誰が妹だ?ふざけるな、あいつは俺の許嫁だ。お前らのような下世話な女と一緒にするな」

幸村の目は怒りに満ちていた

戦場で敵兵に向けるような怒りに満ちた目に思わず女達も身を強ばらせた

(くそっ、めいのやつ何処に行った)


足早に勘定を済ませ幸村はめいを追いかける

(めい…)




(私、どうしたらいいの…)


行く宛もなく、気づけばめいは城の前に戻っていた

幸い、佐助も不在で誰にも合うことなく自室に戻ってこれた

(きっと酷い顔してるよね…)


肩を落とし褥を締めるやいなや、崩れるようにその場に座り込む


その瞬間、堪えていた涙が頬を伝った


「私は背も高くない、綺麗な顔立ちでもない。ましてやあの女(ひと)のような色気もない…」

言葉にしたが為に余計に悲しみに苛まれる


覚悟を決め、幸村と生きていきたいと信長に申し出た

幸村と共に生きていきたい、その言葉に嘘はなかった



フッと鼻で笑う信長

「つくづく鉄砲玉のような女だな貴様は。敵兵の男に惚れ込むとは大した玉だ。貴様は俺に幸運をもたらす女だ、その事は忘れるな」

「は、はいっ!」

「文は欠かさず寄越せ、約束するならばあやつとともに生きることを許す」

勝手に死ぬ事は許さぬ、生きている証を示す為にと信長は文を書くことを命じ送り出した


秀吉は最後まで心配していた。

「何かあればすぐに迎えに行く。お前が泣くようならば俺はあいつを許さない」
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