第24章 秀吉生誕~乱世のぶいっふぇ~ 【R18】
「秀吉さんーー!!三成くんーー!おかえりなさい!」
ちぎれそうな程ぶんぶん手を振って出迎える
たった1日…いや半日程離れていただけでも会いたくて仕方なかった
「ただいま。いい子にしてたか?」
「ただいま戻りました」
「待ってたよ。二人ともお疲れ様」
嬉しくて堪らない。けれど、秀吉は眉をひそめた
「めい、お前、なんか、いい匂いがするな。焼き物のような香ばしい香りがするぞ?」
(えっ!?!?)
くんくんと臭いを嗅がれる。先程まで台所で料理をしていた臭いが着物に付いていたのだ
「あ、こ、これ、さっき、台所近くに居たからかな。いい匂いがして、お腹すいてたから、つい立ち止まっちゃって」
苦しい言い訳をしてしまった。罪悪感があるがまだ本当のことは言えない
「そうか、なら今から夕餉を取るか。三成もちゃんと飯食えよ」
「はい。今日はきちんと食べます」
「その前に二人とも湯浴みしてきたら?疲れてるでしょ?もう、湯殿の支度出来てるみたいだよ」
「そうか、ありがとな。飯、もう少し待てよ」
「うん!待ってるね!」
秀吉が湯浴みをしている間に新しい着物を用意して、広間へ向かわせる。その間に政宗達が広間へ料理を運ぶ算段になっている
秀吉と三成は湯浴みへ。その間にめいは着物の用意に取り掛かった
「めい、待たせたな」
襖を開けるや否や秀吉は目を丸くする
「これは?」
衣紋掛に沈香茶色(とのちゃいろ)の羽織がかけられている
「お誕生日おめでとう!秀吉さんは茶道にも精通しているから、茶器のようで、何だかしっくりきたの」
「へぇ、沈香茶色か、珍しいな。ありがとな」
「あのね、これを着て、一緒に広間へ来て欲しいの」
「広間?」
「うん。着替えたら言ってね。横の部屋にいるから!」
返事も待たず隣の部屋へ行ってしまった。きょとんとした秀吉は言われるままに羽織に袖を通し、着替え終わると声をかける
「待たせたな」
「ううん、秀吉さん、凄く似合ってる!信長様に早く見せたいな」
「おいおい、幼子じゃあるまいし」
他愛ないやり取りをしながら広間へと向かう
既に中は騒がしく、政宗の声がよく聞こえた
「騒がしいな?何事だ?」
「何だろうね」
(入ればわかるよね)