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愛を紡ぐ~二人の欠片(カタチ)~

第23章 記憶喪失~家康~


夕刻、めいの部屋へ行くと姿が見当たらない

(記憶がまだ戻ってないのにどこ行ったんだ)

姿が見えずあちこち探して居ると女中が声をかけてきた

「家康様、めい様が」

「めいがどうしたの?」

女中は真っ青な顔をし、動揺を滲ませる

「湯殿へ行かれたのですが戻られないので様子を見に行きましたらぐったりされてまして…」

「めいは今どこ?」

「女中頭のお志乃さんと脱衣場に居ります…」

「すぐ行く」

(めい…)

家康はなりふり構わず湯殿まで走った



湯殿へ着くと夜着をかけ横になっためいにお志乃が着いている

「家康様、私共が着いて居ながら…申し訳御座いません…」

「いや、あんた達のせいじゃない。ところでめいは何故倒れたの?」

「それが熱を出されているようで、湯に浸かり熱が上がったようです。水を少し飲まれましたが息がまだ荒く…」

「分かった。悪いけど夜着だけ着させて。出来たら部屋まで運ぶから」

(他に悪いとこが無ければいいけど)

「かしこまりました」

一度外へ出て声がかかるのを待つ。中から聞こえる女中達の心配の声が心に刺さり

(早く…まだなの…)

「家康様、お待たせしました」

「構わない。すぐ運ぶね」

家康は素早く抱き上げ部屋へと向かった


褥に横たえさせると荒く頼りない息遣いが聞こえる
すぐさま煎じていた薬を飲ませる


「少し口を開けてこれ飲んで」

「ぅっ…」


辛うじて薬を飲み少し咽せ咳を零すめいの背中を優しくさする


「ごめん、辛かったね。すぐ良くなるから」

「あり…がと…う」

(熱が下がれば少しは楽になる。それまで俺はここにいる)

「無理に話さなくていい。ゆっくり寝なよ」

そっと胸に頭を沈めさせてあやす様に頭を撫でていると次第に小さな寝息が聞こえ始めた

(戻らない記憶を戻そうとして無理が祟ったんだろうな)

何日も出来ることをしたいと女中に混じって掃除や飯炊きをしていた。木枯らしの吹く冬の寒空が追い討ちをかけたのであろう

「ここに、居るから安心して」

家康は布団を肩口まで掛け濡らした手拭いを額に置いた

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