• テキストサイズ

愛を紡ぐ~二人の欠片(カタチ)~

第21章 空に舞う花~光秀~【R18】


筆を洗い終えそのまま天守閣へ進む

「信長様、失礼します」

「ああ、入れ」

襖を開くとお酒を酌み交わし話をしていた

「何故筆など持っている?それでは掃除は出来んぞ?」

意地悪な笑みを浮かべる光秀

「あ…こ、これは…さっき洗いに行って、ここに光秀さんがいるって聞いてつい…そのまま…」

(しまった…何も考えずそのまま来ちゃった)

くくっと笑い酒を飲み干す

「何を呆けておる、貴様もこちらに来い」

「あ、はい」

おずおずと二人の傍へ座り酌をする

「随分と俺を探していたようだな」

「探しました。光秀さんの行動は予測不可能なので」

「予測不可能か。ふっ、分かり易い秀吉と正反対だからな」

「秀吉と言えばまた眉間に皺を寄せておったな」

「信長様への忠義を図る為にはくっきりとした皺が必要なのでしょう」

(ちょっと違うと思うけど…)

喉まで出かかった言葉をぐっと飲み込み盃にお酒を注ぐ

「めい、貴様も飲め」

「え?でも…私、そんなに強くないです…」

「安心しろ。寝たとしても廊下に放り出して帰りはせん」

「放り出してって…ひ、酷い言い方…」

「放り出して帰りはせんと言っただろう?信長様直々の酌だ。有り難く受け取るんだな」

意を決して盃を取ると流暢な手つきでお酒を注がれた

(飲みすぎなきゃ大丈夫…)

くっと口に含みゆっくり喉を通す
じんわりと喉を通る酒は思ったよりも強く次第にかっと熱くなった

(つ、強いこのお酒…二人共水みたいに飲んでるけど…)

顔色一つ変えず飲み干す二人。そのペースに飲まれないようにと心に誓った

「たまには酒もいいもんだろう?」

「ただ、私はお二人のように沢山は飲めません…」

ペースを乱せば酔いつぶれる。少しずつ喉を通すように飲んでいたがビールやサワーとは度数が違う。だんだんと頭がぼんやりし始めた

(これ以上飲んだら絶対おかしくなる…)

視界が揺れているのか、自分自身が揺れているのか、分からなくなる

「何だ、もう酔いが回ったのか?」

(光秀さんの声が遠くから聞こえる?気のせい?)

ふわふわした感覚が大きくなると同時にほんのりと温かさが体に伝わり瞼が重くなった
/ 231ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp