第20章 始まりの奏~三成~
光成は耳打ちし
「めい様、ここを離れないようにして下さいね」
そう告げるとまず政宗が愉快そうに出ていった
「お前らの探してるものはこれか?」
口笛を吹き手に持った麻袋を軽く揺らし問う
「そ、それは…」
「中身は火薬の調合された弾丸、花火売に紛れここ安土で物騒な事をしようとしていますね」
「何なんだ?お前ら?命が惜しけりゃさっさと渡せ」
一歩、また一歩と詰め寄る男達は刀を抜いた
「そろそろ俺達の仲間がここに来る、お前ら二人で相手出来んのか?」
男達は不敵な笑みを浮かべ刀な手をかける
(これは流石にまずいんじゃ…)
咄嗟にその場から顔を出してしまった
「ほぉ、女連れか。上玉だ、売り飛ばせばいい値が付くな」
「っ…」
(しまった…)
駆けつけた男の仲間に見つかり下衆な笑を向けられる
「この方に手をかけるなど出来るわけありませんよ」
いつもとは違った気迫の三成が静かに告げた
「兄ちゃん、お前みたいな若造がこの女を守れると思ってんのか」
一人、また一人と刀を抜きはじめる
「み、三成くん…」
「大丈夫ですよ、めい様、心配なさらないでください」
小さな声で告げ、そっとめいを背中にかばった
(で、でも、この人数じゃ…)
政宗と三成を取り囲む男は六人、政宗は刀を振るうことを今か今かと楽しそうにしている
「ふざけた面しやがって、二人で俺たちの相手出来るのか?」
余裕を浮かべる男達、つめはじりじりと詰め寄る
「呑気なこと言ってる暇があるなら、かかってこいよ」
政宗も三成もまだ刀を抜いてはいない
「んだと?てめぇー!かかれ!」
男達は二人を目掛け刀を奮った
「きゃっーー!」
目の前で刃のぶつかり合う音がこだまする
この乱世に来て、目の前で死闘が繰り広げられる様を何度も見てきたが、慣れることは無かった
「三成君、危ないー!!」
後ろから付け入ろうとする輩、しかし、眼の前で三成は刀を交えている
めいは咄嗟に懐に忍ばせていた物を投げつけた
「来ないでー!!」
大きく振りかぶり投げつけた玉は顔に当たり、中身が飛び散る
「ぐへっ…っっっ、な、なんだっっっ…」
男は口元を覆い、その場に崩れた