第20章 始まりの奏~三成~
めいが投げつけた玉、現代仲間の佐助直伝の目潰しだった
むせ返る輩が崩れると同時にもう片方の男を地面に転がす
「めい様、助かりました。お怪我はありませんか?」
どこか艶めいた瞳は真っ直ぐこちらを見つめる
「大丈夫だよ…」
咄嗟の事で、自分のは身の危険が後からこみ上げてくる
ただ、一言、発することしか出来なかった
ばたばたと音を立て一人、また一人と地面にひれ伏せる
駆けつけた秀吉と家臣によって男達は捕えられ、足の力が抜けた
「めい様!大丈夫ですか?」
三成にの胸に抱き寄せられ、どくっと胸が高鳴る
きつく抱きしめられ、怖さは安心に変わると同時に不意に訪れる胸の高鳴りに思考回路はぐるぐると渦巻き動けない
(な、何だろ…この気持ち…。恥ずかしいし…でも)
「めい、大丈夫か?三成、怪我ないか?」
「はい、政宗様も怪我が無く良かったです。めい様、どこか痛みますか?」
「ううん、大丈夫だよ…」
(ただ、この体制…)
覗き込むように見つめられ恥ずかしさがこみ上げてくる
「政宗、応援頼む」
秀吉が政宗に声をかけ縛り上げた男達わ城へ連れ帰る手立てに加わることになる
「三成、めいを任せた」
「はい、信長様へ私からも戻り次第報告しますね」
めいを立ち上がらせ、自然と手を引き三成も城へと足を進めた
城へ戻ると家康が手当をしてくれる
「あんた、本当に無鉄砲だよね」
「…っっ…」
(言い返す言葉もありません…)
「染みるけど我慢して」
「は、はい…っっ」
傷が浅いとはいえ、ヒリヒリとした痛みが背筋を走る
不甲斐なさを感じ唇を噛み締めていると
「少し顔上げて、傷口保護するから」
「家康様、失礼します」
三成の声がするや否や家康の顔は心底うんざりした顔に変わる
「何のよう?」
「めい様の手当をされていると聞いたものですから、お礼を言いたくて」
「なんのお礼?俺はお前に何もしていない。さっさと部屋に戻りなよ」
(家康、三成くんには本当に冷たいよね)
「家康様は本当にお心の広い方ですね。何もしていないなんて事はないのに、寛大に受け止められ」