第19章 童心忘れるべからず~信長 ~R15~
「んっ…」
啄むような口付けが落ち、差し込む朝日を感じながら幸せを感じた
太陽が真上を指そうとしている昼前の事
眉間に皺を寄せ気難しい顔をした秀吉と出会った
「秀吉さん、どうしたの?」
「ああ、めい、いい所にいた、信長様を知らないか?」
「え?信長様?天守閣に居ないの??」
政務をこなすため信長は天守閣へと戻ったものだと思っていた
「それが、居なくてな。取り急ぎの用があるんだが」
(秀吉さん、困ってるし、お手伝い出来ないかな)
一人で探すよりも、二人の方がいいと思った
「私も信長様がどこに行ったか、探すね」
「助かる。が、針子の仕事はいいのか?」
「うん、今、着物、届けてきたから大丈夫だよ」
「そうか、ありがとう。恩に着る」
「私はあっちを探すね!もし、信長様がいたら、秀吉さんが呼んでるって伝える」
「分かった、頼む」
二手に別れ信長探しを始めた
(何処だろ?)
広間にも信長の姿はない
庭に降りる為の草履を履き、庭へと出てみる
(いつ見てもここは落ち着く)
竹に楓、様々な木々が生い茂る庭
石畳を歩いて行くと声が聞こえる
「ここであれば外敵から身を守れるだろう」
「信長様?」
恐る恐る声をかけると小枝で作られた鳥の巣が手の中にある
「これは?」
「雲雀の卵だ」
現代に居たら、見る機会もあまり無かった
そこには小さな卵が孵化するその日を待っている
「小さい…、孵化するのが楽しみですね!」
「あぁ、ここなら、親鳥も安心だろう」
周りに大きめの石で囲い巣をそっと置いた
「大きな鳥に見つからないように隠れててね」
(ふふ、かくれんぼみたい)
無事産声を上げる事を楽しみに卵を見つめていると
「これではかくれんぼだな、親鳥が無事見つけることが出来るか」
「きっと、すぐ親鳥は見つけますよ、可愛い子供がここにいますもの」
信長も同じことを考えていた
これはまるでかくれんぼだと言うことを
少しすると小鳥の囀りが聞こえる
ーーーピーピーーーー
(あれは?)
雀より少し大きな小鳥がぱたぱたと羽を広げ飛んでいる
「親鳥が探しているな」
「私達はここを離れた方が良いですね」
二人はその場を後に茂みへと隠れ、様子を伺うことにした