第19章 童心忘れるべからず~信長 ~R15~
「家康みーつけた!」
「キキッッ」
(ん?ウリ?)
「こら、これはワサビの」
「キキィー」
「家康どうしたの?」
秀吉の飼っている小猿、ウリが家康の懐へくっつき離れない
どうやら、餌のいい匂いに釣られたようだ
「ったく、こんな遊びに付き合わされ、あっさり見つかるって…」
やれやれとため息を付き、懐の餌をウリに一つ与えた
「家康、何持ってるの?」
「これはワサビの餌、欲しがって離れないから」
ウリは嬉しそうに頬張り家康の肩へと登った
「秀吉さんの部屋に連れて行ってから、広間へ行くから」
「分かった。早く皆見つけるね!」
家康と別れ、次の隠れ人探しに向かった
少し歩けば何だか声がする
女の人がヒソヒソと話す声、何処かとても楽しそう。そこは針子部屋。いつも賑やかな場所だが、今日は何だか声が小さい
「秀吉様、こちらへお隠れ下さい」
「もっと声を潜めないと聞こえるわよ!」
「やだ、いっけないっ…」
(ん?なにか騒がしい…)
「失礼します」
(え?)
「あ…」
呆気なく秀吉を見つけた
衣紋掛けの裏に隠れようとしたところを見つけた
「秀吉さんみーつけた」
「参ったな。こんなに早く見つかるとは」
部屋にいた皆にお礼を述べ秀吉は広間へ、めいはまた隠れ人探しに出た
(次はどこ行こう…)
少し歩けば食材の貯蔵庫、勝手場がある
(隠れるとこありそうだよね?)
早足に貯蔵庫へと向かった
幸い、膳の時間では無いため、人気はない
(うーん、隠れるところ…)
きょろきょろ見回していると、木の大きな箱に風呂敷のような布が数枚がかかっている
(!?う、動いた!?)
恐る恐る近づき、思い切って布を取り払うと
「ひぁぁぁーー!!」
「なんだ?もう見つかったのか?案外早かったな」
そこには涼し気なな顔をした政宗がいた
「ひ、びっくりしたーー!!…」
(おばけかと思った…)
「びっく?なんだそれ?」
「ご、ごめん、驚いたってこと…」
大きく深呼吸し気持ちを落ち着ける
「この程度で見つかるとはな、斥候に示しがつかねえ」
「ふふ子供の遊びだから気にしないでね」
残るは二人、日が落ちる迄には何とか見つけ出したい