第19章 童心忘れるべからず~信長 ~R15~
「もーいーかい」
(声しない…)
「もーいーかい」
広間を開け放し柱に顔をくっつけ目隠しする
「まだだ」
あちらこちらから声が聞こる
「もーいーかい」
(あれ?声がしなくなった)
「よーし!」
めいはここ、安土城てかくれんぼをしている
事の発端は信長の
ーーー愉快な事はないのか?ーーー
この一言より始まった
五百年後の日ノ本からやって来ためいは子供の頃からじゃんけんで何か決め事をしたり、幼少の頃はこんな事をして遊んでいたと話した
(まさか、大人になって大人同士でかくれんぼするとは…)
目新しいもの好きな信長にとって、子供地味た遊びでも、本気でやる
有無を言わさず決行すると、家康は心底うんざりした顔で嫌々参加した
(家康、本当に嫌そうだったな…)
苦笑しながら鬼となっためいはこの広い安土城内に隠れた武将達を探しに出た
「さぁ、どこから探そう」
隠れる範囲は天守閣とこの本丸の敷地内迄…とは言え、正直広い
「だめだめ!弱音吐かず探すなきゃ」
じゃんけんの仕方を説明し、あっさり負けてしまった為、鬼となり皆を探す
まず、訪れたのは書庫、広間からそう遠くない場所
何やら、小さな音が聞こえ、そっと扉を開け中に入ると
(ん?)
死角になる、隅の方に見慣れた着物の裾が見える
足音を立てないように近づけば
「三成くん見ーつけた!」
かくれんぼをしていた筈の三成は書物を読んでいる
「三成…くん?」
呼んでも返事はなく、そっと肩を叩いてみるが無反応…
(あ、そう言えば…)
以前、秀吉に聞いた術を実践してみた
「三成くん!!」
眼鏡を取り外し書物をそっと離す
きょとんとした顔でこちらを見る三成
「あれ?めい様?」
「三成くん見ーつけた」
あっさり確保。見つかっても尚、天使スマイルの三成を広間へ行かせ、次の隠れ人探しに向かった
「さて、次は…」
近くの部屋を開けさせてもらったが、蛻けの殻
(そうだ、庭!)
外履きの草履に履き替え探索してみる
ーーーガサガサーーー
(!?)
何かが竹藪で動く
(な、何!?)
驚き身をすくめると
「いてっーー」
(あれ?この声…)