第17章 野に咲く花、枯れぬ花~信玄~【R18】
今日は佐助君の部屋を借りて寝る事にした
「ごめんね、部屋を借りるなんて事して…」
「いいんだ。気持の整理も必要だと思う」
その日、佐助君は幸村の部屋で寝る事に。幸村も快く提案を受けてくれた
「気にすんな。何かあったらすぐ言えよ」
「二人ともありがとう!」
(とにかく頭を冷やそう)
二人の気遣いに感謝し、夜を迎えた
あいにく信玄様と顔を合わすことはなかった
久しぶりに一人で褥に横たえると落ち着かない
(…信玄様…居ないもんね…ここ、佐助君の部屋だし)
もしかしたら、部屋に居ないから心配しているのではないか?
あれこれと頭をよぎる…また気持ちがぐちゃぐちゃになって
声を殺し泣いてしまった
「ぅっ…」
皆から慕われる人、優しくて包容力があって、甘い言葉を
さらりと言って…
病気が完治して、何も隔てるものはなくなって…
(だめだめ…こんなんじゃだめ)
しんと静まり返る部屋で一人泣き疲れ、気づけば眠りに付いていた
夢を見ていた。愛するひとの後ろ姿を見つけ、懸命に追いかける夢を
「信玄様っ!待って!」
ちらりと振り返るも、全然追いつけない
どんどんその距離は広がり手を伸ばしても、走っても遠く小さくなる
「いやっ、信玄様!!行かないで!信玄様!!」
「めい、めいっ!」
誰かが呼んでる声がする
「めい、めい、大丈夫か?」
(この声…)
夢から覚めるとそこには
「…っ!!信玄様!?」
ぼやける視界の中、はっきりと分かるその声、
涙を拭う優しい指先、目の前には信玄様がいる
(ここ、佐助君の部屋じゃない!?)
「俺はここに居る。めいを置いてどこへも行かない」
肌の温もりを感じるように抱きしめられる
恋しかった、大好きな温もり、大好きな信玄様の匂い
「信玄…さ、ま…?ど、うしてここ…に」
どうなっているのか、わからなくて、頭が混乱している
「寝ていためいを連れて部屋へ戻ってきたんだ」
(私、信玄様に運ばれたの?)
一度戻った時、三人の話を聞いていた信玄は佐助の部屋で眠るめいを自室へと連れ帰ったのだった