• テキストサイズ

愛を紡ぐ~二人の欠片(カタチ)~

第17章 野に咲く花、枯れぬ花~信玄~【R18】


幸い誰にも会わず帰ってこれた
家臣の人たちに見られたら、勘違いされてしまう


「めいさんと、幸村?」

無遠慮に襖を開けるとまきびし作りをしていた佐助が首を傾げる

「た、ただいま…あ、あの、、幸村…」

手首を掴まれたで恥ずかしい…
このままじゃ絶対に誤解されてしまう

「佐助、勘違いすんなよ」

「へー。幸村、信玄様に宣戦布告するのか?」

「言った傍から勘違いすんじゃねーよ」

「めいさん、どうぞ、座って」

「俺のこと無視かよ!」

いつもと変わらないズッ友の二人のやりとり


「ところでめいさん、どうかした?何かあったよ?」

「俺もそう思って連れて帰ったんだ」

二人は心底心配してくれて…
泣いちゃだめなのにぽろぽろ涙が出る出てしまった

「…ひくっ…ひくっ…」

止める術がなく嗚咽までし始め幸村は慌てふためく
表情一つ変えない佐助は隣に座り肩に手を添えあやしはじめる


「無理に言うことないよ。俺達の事は気にしなくていい」


その優しさに甘え思いっきり泣いた

こんなに泣いたのいつ以来だろ…どんなに辛くても信玄様がいれば泣かずに前を向いてたのに…


嗚咽が止まらないながらも少しづつ話し始めた


「し、、信玄様が…女の子達に…囲ま、、れて…ひくっ」

二人は黙って話を聞き続けた

「信玄様が…悪いわけじゃない…でも、私、一緒に居てもおまけみたいで…」

「佐助、おまけってなんだ?」

幸村が首を傾げる小声で尋ねる

「何かと付帯されて付いてるってこと」

幸村は言葉の意味を理解した上で

「ったく、あの人は顔が広いのは悪い事じゃねーけど」

何かを察知し佐助は障子に目を向けすぐ視線をこちらに移した


「めいさん、辛かったら、安土へ帰る?俺から信長様へ文を出すよ」

「え?」

(安土へ帰るって…)

確かに信長様はいつでも帰ってこいと仰ってた。政宗達も皆…

「おい、佐助、そこまで…」

佐助は目線で合図を送った

「信玄様を慕う民は多い。だが、それとこれとは別」

「家臣として俺からも詫びる。悪かった」

「幸村、謝らないで…何も悪くないよ…私が勝手に…」


また涙がこぼれ始めた。自分の愚かさが身に染みるような涙が…
/ 231ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp