第2章 三日月に映る光と影 【R18】
(めい一つ何か買ってやるかな)
商人は小脇に抱えた木箱を開けると、きらびやかでに光る石、細く、武器には使えそうにないが、艶のある鎖が入っている。
(これは?これに似てんな)
徐に懐から取り出したのはめいが持っていた指ぬき
使い方を聞いていた政宗を前にふにゃっと笑う
「ほら、この指に入れると指輪みたいになるんだよ」
「指輪?」
「うん、想い愛し合っている者同士が私のいた500年後の人達はお揃いで付けるの。許嫁として祝言を挙げたい人に男性が送ったりもしたんだ」
政宗は熱心に話を聞いていた
(興味深い話だな、何より、こいつが生き生きしている)
左手薬指は心ノ臓に繋がる大きな血管が流れ、心が繋がる指とし、お互いの気持ちが繋がりの証を指輪を付け示すと話していた事を思い出す
政宗は商人に品物について詳しい話を聞き始めた
――――――――――――――――――――
三日後、夕刻には信長達が戻ると知らせが来た。報告も兼ねて広間で皆、夕餉を取ることになる
(政宗に早く会いたいなー)
出来上がった巾着を眺め、懐へしまう
「めい様、夕餉の支度が出来ました」
「はい、行きますね、ありがとうございます」
軽い足取りで広間へと向かった
武将達は既に集まり酒を酌み交わしている
「めい、こっちだ」
(政宗ー!)
「ほら、どんどん食えよ」
「うん!いただきます」
(美味しーいー!)
「ほんと、旨そうに食うな。光秀とは大違いだ」
煮物、焼き魚、白和えを飯碗に乗せ、挙句汁をかける
「…光秀さん、味がわからないですよ?」
「腹に入れば同じだ」
秀吉の横で黙々と箸を進める家康の膳には赤い粉が多量に振りかけられている
(家康って唐辛子すきだよね…)
すっかり見慣れた光景に頬を緩ませていると、信長がめいを呼ぶ
「酌をしろ」
「は、はい」
盃に並々と酒を注げはクッと飲み干す
「貴様も飲むがいい」
「少しだけ…頂きます」
盃を取り信長直々に酒を注がれ飲み干す
(結構キツイいお酒…よく飲めるな信長様)
「ところで貴様、各武将達が己の領土へ近々帰還する事は知っておるのか?」
「え?」
戦場で輿が冷めたと謙信は刀を収め戦地を跡にした
今、ここは平和を取り戻している