第2章 三日月に映る光と影 【R18】
「そっか、あ、今信長様は南蛮の証人とお会いしてるから、秀吉さんと行くんだね」
「ああ、明日には信長様も来る」
「わかった、気を付けていってらっしゃい、あっ、付き合ってもらってありがとう」
機嫌を直しふにゃふにゃと笑うめいの額にチュッと口付けを落とす
「いい子でまってろよ、帰ったらご褒美やるからな」
「…//う、うん」
「素直で結構」
ひらひらと手を振り政宗は麩を締め出ていった
(ご、ご褒美って…し、心臓持たないよ…//)
胸に手を当て、平常心を保とうと大きく深呼吸をする
(政宗が帰って来るまでに巾着仕上げなきゃ…)
落ち着きを取り戻し、巾着の制作にとりかかる
反物やの主から貰ったハギレの中に青いハギレがあった
(これ、政宗に似合う色だなぁ、これにしよ♡)
濃い青色に染められ金糸が織り混ぜられた上品で優しい手触りの生地、所々に花弁のような絵柄が描かれ、めい好みのものである
「丁寧に織られたものなんだろうな。政宗、喜んでくれるといいな」
(他のハギレは細長いから、リボンみたいにして髪を結ぼう♪)
にこにこと頬を緩ませ針を落としていった
めい巾着を制作している頃、秀吉と政宗は合流し、馬を隔て話しをしていた
「政宗、お前、めい恋仲なのはいいが、朝帰りをさせるなよ、安土が平和だと言っても若い娘を一人で朝帰りさせるのは頂けないぞ」
「へぇ~、じゃ、俺と一緒になら、いいんだな?」
「お前なぁ…はぁ…」
秀吉の未見にまたシワが寄る
「ならば俺の御殿にめいを迎えいれるまでた」
「めいは信長様の気に入りだぞ?そう簡単に、許しが出るはずがない」
「それに」
「なんだ?」
「お前、あまり人前でめいを抱き寄せてると、刺されるぞ?」
「はっ、面白い、俺以外、あいつの目には映ってはいないからな」
「お前のその、自信と率直さを少し家康に分けてやりたいよ」
(ほんとにこいつは怖いもの知らずだな、よくめいもこいつの側で笑ってていられるもんだ)
呆れのような、羨ましいような、何とも言えない表情を浮かべ秀吉は小さなため息を零した
一刻後、信長は南蛮の商人と現れた
「秀吉、政宗ご苦労であった、この商人好奇心を駆り立てるもの持っておる」
(へぇーどれどれ)