第16章 甘い違いの後~秀吉~ 【R15】
「二人で夕餉ってちょっと久々だよね」
嬉しくて頬が緩む。たった数日、一緒に食べられなかっただけなのに、長い時間だった気がして仕方なくて
「そうだな。戻りが遅かったからな」
心做しかちょっと上の空のよう
気のせいかな?と思いながらも夕餉を済ませ寝支度をし始めた
(湯浴みそろそろいいかな)
「秀吉さん、湯浴みしてくるね」
「あぁ」
「キキッ」
ウリに餌をやりながら少し気のない返事をされた
(どうしたんだろ?)
引っ掛かりを覚えつつ湯浴みに向かった
(いいお湯だった)
さっぱりし、部屋に戻ると秀吉さんの姿が見えない
「秀吉さん?」
何処に行ったんだろ?と思いつつ、先ほどの素っ気ない姿が思い浮かぶ
(私、何か気に触ることしたかな…)
不安が押し寄せ胸がチクリと痛む
「…」
布団の上で三角座りして、顔を下へ向けてしまった
(何だろ、凄く苦しい…)
モヤモヤとする気持ち、考えれば考えるほどどツボにハマる嫌な気持ち。次第に目頭が熱くなりだした
「ガサッ…」
「めい?」
「秀吉…さん?」
首に手ぬぐいをかけ戻ってきた。どうやら、湯浴みをしていたみたい
「どうしたんだ?おまっ…泣いてんのか?」
驚いた顔をし駆け寄るようにこちらに来ると咄嗟に抱きついた
「秀吉さん…ご、ごめんなさい…わ、私…あ、あのね…」
見るや否やわんわん泣いてしまう
何か悪い事をしたなら謝らないといけないと思うのに声が出ない
「めい、落ち着け。どうして泣いてるんだ?」
「ひっ、、秀吉さんの…ひくっっ…気に触ること…したって思っ…」
胸に縋り付き泣きじゃくっては嗚咽し夜着が濡れてしまった
「めい、ごめんな俺が大人気なかった」
優しく頭を撫であやしてくれる
もう片方の手はギュッと抱きしめてくれ、誤解を招いたと反省の意を伝えてくれた
「お前が俺のために天ぷら作ってくれただろ?嬉しかったんだ。だが、信長様が気に入って、政宗とお前が台所へ行って…その…すまん、やきもちを焼いたんだ」
めいの純粋な気持ちと分かってるのに、信長様がめいを気に入っている事、政宗と仲良く料理をしていたことに嫉妬しモヤモヤし、素っ気ない態度が出てしまったと