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愛を紡ぐ~二人の欠片(カタチ)~

第15章 新たなる記憶を貴方と~謙信~


二人は近くの寺へと来た。和紙で丁寧に包まれた包を手に住職に話しかける

「ご住職様、針供養をしていただきたいのですが…」

「針供養…ですか?」

今日は現代では針供養の日。折れたり、ちびた針に感謝の意を込め供養する、針を休める日があると伝えた

「そういう事ですか、春日山城の姫様はとてもお優しい方ですね」

「と、とんでもないです!!無理を言ってごめんなさい…」

「とても素晴らしい事ですよ、是非広めさせてください」

和紙に包んだ針をを住職に渡し二人はお礼を述べた

「お願いします!」

「住職、頼んだぞ」

「かしこまりました」




ほっとした気持ちで寺を後にし、市を見て回った
昨日も見た風景は一段と輝いて見える

「賑やかてすね」

「ああ、お前はすぐにはぐれそうだな」

しっかりと絡められた指先から伝わる謙信の優しさ

(温かくて幸せだな)

ふと目に止まった一件の反物屋
昨日買いそびれた針を買おうと謙信と共に訪れる

「わぁー!綺麗なまち針!」

「こ、これ、これは!!謙信様と姫様ではありませんか!」

店主は驚き深々と頭を下げる

「綺麗なまち針ですね。目移りしちゃう!」

子供のようにきらきらと目を輝かせ見蕩れていると

「珍しい物が入ったので、是非ゆっくり見ていってください」

「ありがとうございます!」

(どれにしよう…)

あれこれ悩んでしまうが、反面、謙信を待たせるわけには行かない…そう思っていた矢先

「店主、この三本をくれ」

「はっ、あ、ありがとうございます!すぐにお包みします!」

「?」

丁寧に包まれた物を謙信は受け取り支払いを済ませる

「めい行くぞ」

「は、はい…ありがとうございます」

店主にお礼を述べ再び指を絡め城へ戻った


部屋に戻ると先程の包みを渡される

「ありがとうございます」

(あの短い間に何を買ったの…??)

徐に包みを開けると青と緑、白い玉のついた綺麗なまち針が顔を出した
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