第15章 新たなる記憶を貴方と~謙信~
「おかえりなさい。会いたかったです…」
素直な気持ちが溢れる。たった二日、会えなかっただけで涙がこぼれ落ちそうになる
「あぁ、お前を置いて行くこと程苦痛な事はなかった。佐助を斬り伏せてしまえばよかった程にな」
「だ、ダメです!!斬っちゃいけません!!」
夜着にぎゅっとしがみつき懇願すれば頭のてっぺんに口づけが落ちる
「お前の温い考えは相変わらずだな。お前が生きているなら、それでいい」
(良かった…)
謙信は未だ不意打ちで佐助に斬りかかる。幸村達がいれば彼等も同様に
「し、心臓に悪いです!!謙信様、斬り合い以外にも楽しみはあるはずです!」
少し拗ねたように顔を伏せつぶやけばより強く抱きしめられた
「お前が死ぬ事は許さん。傍にいろ」
(あぁ、幸せってこの事だよね…)
「ずっとお側にいます…離れません」
外はまだ夜明け前、謙信の温もりを感じ安心しきっためいはそのまままた眠りの地に着いた
翌朝、目覚めても消えることのない温もりに包まれる
ちらりと見れば切れ長の目は瞼を閉じまた違った色気を醸している
(謙信様の寝顔ってすごく綺麗…)
吸い寄せられるように唇を重ね柔らかさを感じていると強く抱き締められ唇を啄まれる
「んん…っっ!!」
とろりとした舌を差し入れられ中を擽る
「あっ…謙信…さ…んんっ!」
吐息事奪う口づけを繰り返しやっと唇ははなれた
「ふっ…あっ…」
「朝から締りのない顔だな」
「…謙信様のせいです…」
(心臓に悪いよ…)
「ならば塞いでしまう」
「だ、ダメっっ!!」
胸を押し返し、抵抗していると
「謙信様、おはようございます」
襖越しに声がけかかった
「なんだ、佐助」
「朝餉の支度が整いました」
(良かった…)
「すぐに行く」
「お待ちしてますね」
佐助の遠ざかり身支度にとりかかる
「めい」
「え?あんっっー!!」
襟を合わせようとしたところ、強く吸われちりっとした痛みがさこつに走る
「離してはやらん」
(も、もぉ…)
煩い程高鳴る気持ちを何とか抑えながら着替え朝餉を摂った