第15章 新たなる記憶を貴方と~謙信~
着物作りに没頭し気づけば傾き始めている
夕餉を済ませ寝支度をする
いつも謙信が座っている場所、畳んだままの夜着。いつもより広く感じる布団
(早く会いたいな…)
襖を開ければ雲に覆われた半月がぼんやりと照らしている
「うぅ…寒い…お布団入ろ…」
ここは安土以上に寒さが身にしみる
すっぽりと布団をかぶり目を閉じた
めいは夢を見ていた
「謙信様ー!おかえりなさーい!」
「あぁ、今帰った」
愛おしい温もり、大きくて繊細な掌、優しくて慈しみに溢れた眼差し
「謙信様の腕の中、幸せです」
「んんっ…」
「起きたか」
(夢??)
ぼんやりとした意識、今迄見ていたものは消えてゆく
ただ一つ変わらないもの、身体を包む暖かさ。夢と現実の狭間