第14章 月が知る~幸村の思い~ 【R18】
「お待たせ、ごめんね、遅くなって」
(やっと来たか)
「いらっしゃい。桜色の着物か。春先取りで似合ってる」
「えへへ。ありがとう」
ふにゃふにゃと笑うめい
これが佐助の言ってることなのか?幸村には理解し難い
「ほら、行くぞ」
「うん」
三人は茶屋へ向かった
「美味しいしー!桜餅久しぶり!」
「お前、甘味一つで子供みたいに喜ぶよな」
(怒ったたと思えば笑ってるか)
「だって、塩気が程よくて美味しいもん」
「草団子も絶品だ。来てよかったね」
「うん!また来たい!」
「そう言えば、今日は凝った髪型にしてるね?幸村の為?」
(俺のため?)
「え!?…えっと…その…」
顔を赤くし、ちらりとこちらを見てくる
「幸村は幸せ者だな。ひゅーひゅー」
「さ、佐助君!!」
「なんだよ?ひゅーひゅーって」
「お熱いねって事だ」
「そ、そんな事…な、ないよ!」
佐助はちらっと幸村を見て
「幸村、今日のめいさん、一段と可愛いだろ?」
ぶっ!!
「おまっ、いきなり変な事言うなよ」
思わずお茶を吹き出した
「可愛いなら、可愛いってちゃんと言葉で伝えるべきだ」
「さ、佐助君!!い、いいんだよ!!」
「いや、ダメだ。君の努力をちゃんと幸村に伝えないと」
「表情一つ変えずいうお前に言われたくねーわ」
賑やかなひとときを過ごし佐助と幸村は信玄の元へ、めいは部屋に戻り着物作りに取り掛かった
日も落ち、当たりが闇夜に包まれる刻、めいはつきを見上げていた
「めい」
「あ、幸村」
湯浴みを済ませていためいの髪はまだ少し濡れた濡れていて月明かりに反射しきらきらと輝いている
(なんだ…か、可愛…な)
きょとんとした顔で見られ、はっと我に返る
信玄に貰った酒瓶と猪口を持って横に座った
「見て、お月様、満月。きれいだね」
「おー。つーか、お前、髪濡れてんだろ。ほら、こっち来い」
手ぬぐい髪を拭き上げるとゆったりと体を預けてくる
「ありがとう、そう言えば、それどうしたの?」
猪口と酒瓶を見て不思議そうなかおをする