第14章 月が知る~幸村の思い~ 【R18】
「ねえ幸村、これとこれ、どっちがいいかな?」
黄色い着物と桜色の着物どちらがいいかと訪ねてくる
「どっちでもいーだろ。早くしろよ」
(どっち着たって同じだろ)
「真剣に悩んでるんだから!!」
頬を膨らませぶつぶつ文句を言うめい
「ったく、着物なんかどれも一緒だろうが」
「一緒じゃないもん!…似合ってるかどうかとか、髪型とかコーディネートってあるんだから!」
「こーでい?なんだそれ?」
(相変わらず変な言葉言うよなこいつも佐助も)
女心に疎い男
髪型や着物がどうのこうのと言われてもいまいちピンと来るはずもない
「もー!幸村のバカ!人の気も知らないで!」
「はいはい。俺は先に佐助んとこ行って待ってるから、早く来いよ」
佐助と三人で最近出来た茶屋へ行く約束をしている
その為にめいは着物選びに悩んでいたのだ
(何が馬鹿だ。本当に怒りっぽい奴)
「佐助、入るぞ」
襖を開けると自宅を終えた佐助は撒菱を袋に詰めてきた
「あれ?めいさんは?」
「着物がどうのこうのの言ってたから、先に来た」
腰を下ろした幸村はぼやく
「着物と髪型のこーでねーと?とか理由のわかんねえ事言ってたな」
「コーディネートの事?」
「ああ、なんかそんな感じ」
(こいつら、ほんと変な言葉すらすら言えるよな)
ため息をつく幸村に表紙ひとつ変えず佐助は述べる
「幸村、女性にとって組み合わせ、つまりコーディネートというのは重要な事だ」
「は?」
「幸村に可愛い、綺麗だと思って貰いたくて真剣に考えてるって事だ。乙女心を踏みにじるのは良くない」
(乙女心?あいつが?)
「何着たってあいつはあいつだろ?」
「分かってないな…」
めいが来るまでの短い時間、佐助に諭される
「女性は愛おしい男の為に綺麗で有りたいものだ。信玄様に聞いたらお説教されるぞ」
「げっ…」
「全ては幸村にの為だ。幸村が好きだからこその努力だ」
(わかんねーな)
佐助に乙女心とは、と聞かされているうちにめいは支度を終えやってきた