第2章 三日月に映る光と影 【R18】
初めて訪れた際、主のおおらかな人柄、反物への拘りを気に入り贔屓にしている
主もまた、織田家ゆかりの姫ではあるが、身分など関係なく分け隔てのない人柄を大層気に入り、めいが来るのをいつも楽しみにしていた
(反物屋のオジサンの娘さん、私と歳が近いし、雰囲気が似てるって言ってたけど、どんな子なんだろなぁ)
少し前に、良い縁談に恵まれ、娘は嫁いだと主は話してくれた
先日訪れた際には信長の着物を仕立てる為に購入した反物とは別にハギレを何枚か手渡してくれた
「めい様、こんなもんだが良かったら貰っておくれ。」
「いいんですか!?有難うございます!嬉しい!」
(政宗のお財布代わりに巾着を作ろうっと♪)
あの時のやり取りを思い出し、ほっこりとした気持ちの中、着物の仕上げにとりかかる
(後は袖の丈を調整して…。んー信長様はあれから南蛮の商人と会うからってお城にいないし、、、調整どうしよう…)
ここは戦国の世、ミシンなど無ければトルソーもない
めいの腕の良さを聞いた武将達はめいに着物の仕立てを頼むことがある
その際、出来れば袖を通してもらい、最終的な丈の調整を行っているが、今回は中々そうはいかない
(出来上がってからまた再度預かってすぐに丈を詰めようかな)
仮縫いをし、一度針山に針をさして着物を畳もうとしたところ、何の断りもなく襖が開かれた
「よぉー。めい、いい子にしてたか?」
「ま、政宗っ!!入る時は声かけてよ!!ビ、ビックリしたっっ」
不意に声をかけられ目を見開くめい
「びっくりとはなんだ?」
(あ、また現代用語出しちゃった…)
「驚いたって事!!」
「なんだ?やましいことでも考えたたのか?」
ニヤリと笑みを浮かべ後ろから抱きしめる
「ち、違うよ!!今考え事してたのっっ//」
(あ、いい事思いついた!)
「あっ、ねぇ政宗!」
「ん?」
「ちょっと立って!!」
「立て?」
「うん、信長様に新しい着物を仕立てて欲しいって言われたの。政宗、信長様と背格好あまり変わらないから、羽織って袖の丈見させて欲しいの…お願いっ!」
(ほぉ~、信長様と背格好が似てると来たか、面白い事を言うなこいつ)
「いいぞ、貸してみろ」
政宗はあっさりと願いを聞き入れ着物に袖を通した