第12章 家康誕生祭~その手の陽だまり~ 【R18】
寒空の中でもお焼き、飴、煎餅などを売る人々。楽しそうに露店を見回す人がいる。戦の耐えない時代の平和を祈るような賑わいに心も踊り絡め手繋いだ手はとても暖かく幸せに満ち溢れている
「迷子になったら大変」
「大丈夫だよ、家康がちゃんと手を繋いでくれてるもん」
(家康の手温かい)
「結構人、いるんだね」
「賑わってるね。あ、あそこでお参りしよ!」
出会った頃の家康なら、絶対こんなところには来なかったと懐かしい思い出を胸に参拝所へと来た
(家康がいつまでも幸せに生きられますように…家康が笑顔で居られますように…家康が戦で大きな怪我をしませんように…)
「長すぎ」
「あ、ごめんね…つい…」
「ふーん。行くよ」
「うん!」
一通り露店を見渡し、二人は御殿へと戻った
湯浴みを済ませると、先に家康は部屋に戻っていた
「めい、こっちきて」
手招きされ、家康のすぐ横に腰を下ろすと手を引かれ家康に背中を預けるようになる
「い、家康!?」
(ビックリした…)
「まだ髪、濡れてる」
手ぬぐいで丁寧に髪を拭き上げ櫛でそっと髪を梳かし仕上げてくれる
「幸せ…」
(家康の手やっぱり好き)
「え?」
驚く家康を他所にめいは言葉を続ける
「家康の手は強くてとっても器用だし、とっても優しいから好き」
素直な言葉が溢れ出す。今日が終わらなければいいのに…そんな気持ちでいっぱい
「家康?」
家康の柔らかな髪が肌を燻りそっと手が回される
「あんたって本当にお人好し。素直で無駄に眩しくてすぐ迷子になりそうだし」
肩に顔を埋め項に口づけを落とされ甘い痺れが走る
「んっ…」
手は夜着の合わせに差し込まれ撫でるように徐々に敏感な部分へと滑り落ちる
「はっ…んっ…家…康…」
「まだもらってないよ、めいの事。全部俺にくれる?」
艶を帯びた声が耳元で囁かれる
「もう…とっくに…あっ…家康の…ものだ…よ」
(いつもより家康が甘えた声だからドキドキしすぎて心臓持たないよ)