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愛を紡ぐ~二人の欠片(カタチ)~

第11章 その手に触れる砂と籠 【R18】


一呼吸おくと、めいはぽつりぽつりと話しかけてきた

「三成君は城下でも人気者だね…」

(私が人気…者?)

きょとんとする三成と打って変わって、めいは頬を染め話を続けた

「この間、城下の茶屋で綺麗な女の人に囲まれてたし…」

「めい様も城下にいらしたんですね。すみません、気づかなくて」

「ううん…いいの…邪魔しちゃいけないって思ったから…」

(どうしてめい様はこんなに悲しそうなんでしょう…)

「ご、ごめんね、変なこと言って…ゆっくり休んでね」

立ち上がり部屋を出ようとしためいの手を三成は思わず掴んだ

「み、三成くん…!?」

「めい様が悲しげな顔をしたり、政宗様たちと話をされているととても心がもやもやしたり、痛むのです」

「え……?」

三成の瞳には色気と強さが滲み吸い込まれるようにめいはその瞳から目が離せない

「めい様に会うと何だか嬉しくなり、触れられれば心ノ臓は大きく脈打ちます」

顔を真っ赤にするめいは少し顔を俯かせ、ぽつりと呟いた

「それって…恋してるって…事…?」

(これは恋煩い…なのですね)

書庫で見た恋の指南書が脳裏に描かれる一つとして外れているものはなかった

「めい様…私はあなたに恋をしているようです」

確信のない、どこか他人事のような答えが三成らしいがめいは少し悲しげな顔をした

「違うかもしれないよ…三成君の中に確信めいた物がないなら…」

「え…」

一筋の涙かこぼれ落ちていた。涙に濡れた頬に指を這わせ拭うとめいは驚き顔を上げた

「やはり、悲しげな顔を見ると私の心はとても締め付けられます」

三成は衝動のまま手を引き腕の中に抱き寄せた

「これが恋なのですね。めいはとても温かくて心が穏やかになります」

三成の今までのもやもやした気持ちが晴れ、思わずぎゅっと抱きしめてしまった

「み、三成くんーー!!」

「あ、すみません、つい嬉しくて…どこも怪我されてませんか?」

心配になり顔を覗き込むと鼻先が触れるほど顔は近くにあった。めいは酷く動揺し、しどけなく唇を開いたままになっている

「み、三成…く…」

唇が触れそうになったその時

廊下から三成を呼ぶ女中の声がかかった
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