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愛を紡ぐ~二人の欠片(カタチ)~

第11章 その手に触れる砂と籠 【R18】


三成は時を忘れその書物に目を通していた。全てを読み終えると日は傾き夕暮れになっていた

(色恋とは難しいことですね。これは戦術より難しいです)

「三成ー!何処にいる?」

秀吉の声が聞こえる。立ち上がり書物を片付けていると、音が聞こえたのか、秀吉が入ってきた

「こら、三成、またお前はここに閉じこもっていたのか」

溜息をつき眉間にしわを寄せる秀吉

「申し訳ありません。書物に夢中になっておりました」

「ったく、ほら、夕餉の刻だ。行くぞ」

秀吉と共に書庫を後にし、広間へと向かった


「三成くん!もう皆集まってるよー!」

めいが三成を呼び心が弾んだ。軍議も多い為、朝晩は皆で食事を摂ることが多い

「お待たせして申し訳ありません」

皆にこやかに善を囲み食事をしている

「めい、梅干し食うか?俺が漬けたから美味いぞ」

「え?いいの??食べるー!政宗のお料理どれも美味しいんだよね」

(…あれ?)

またもや、胸が痛み二人の姿を無意識に追ってしまう

「こら、三成、食事中に気を逸らすな。芋が何で湯のみに入ってるんだ」

「三成くん、ご飯粒、くっついてるよ」

めいは三成の頬についた米粒を取り微笑むと三成に笑みがこぼれた

未だ分からぬもやもやの中、夕餉を済ませ自室へと戻った






「三成君、いる?」

(この声はめい様?)

「はい、どうぞ」

「ごめんね、突然」

三成の心は弾み満面の笑みが零れる

「いえ、どうかなさいましたか?」

「うん、さっきね、三成君の袖、糸が解れて居るのが目に入ったから、気になって」

めいは小さな箱を抱え三成の前に座った

「直してもいいかな?」

「はい。お願いします」

おずおずと近寄るめいに優しい眼差しを向け、三成は腕を出し、袖を直してもらった

(何だかとても落ち着く香りがしますね?何でしょうか?)

目の前には真剣な顔つきで袖を直すめいがいて、白く細い首筋がちらりと見える

(綺麗ですね…)

無意識に見入ってしまった。自分より細くその小さな体。触れれば折れてしまう…そんな気がした


「はい、出来たよ」

「ありがとうございます」

胸の鼓動が大きくなっている
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