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十四郎の恋愛白書 1

第13章 No.13


「オレぁゆきさんを諦めやすが、最後に思い出が欲しかったんでさぁ」
「はあ⁉︎ 思い出⁉︎」

何を乙女みたいな事言ってんだよ‼︎

しかし総悟はケロリとしたまま続ける。

「でも本物のゆきさんにこんなことしたら嫌われやすからねぃ。今なら身体はゆきさんで、中身はどうせ土方さんだし、いいかなって」

何その理不尽な理由‼︎
おまえは良くても、オレは超気持ち悪かったんだけど‼︎

怒りのあまり口をパクパクするオレに、総悟は懐から一枚の写真を出した。

「この事はゆきさんには内緒にしてくだせぇ。もし言ったら、鬼の副長のラブリーな姿を週刊誌に売り付けやすから」

ひらりと床に写真を落とし、総悟は部屋を出て行った。オレは写真に飛びつく。

それは初日に撮ったであろう、白い割烹着に白い三角巾を付けてにこやかに微笑むゆき、いや、オレの姿の写真だった。





総悟からのディープキス事件の後、オレはショックで40度まで熱があがり、2、3日寝込んだ。

ゆきが頻繁に様子を見に来てくれたが、唇を奪われてしまったことが申し訳なくて、しかもそれを伝え謝ることができない後ろめたさに、まともにゆきの顔を見れなかった。

4日後、やっと回復して文机の書類の山に手を出し始めた頃、懐の中で携帯が震え出した。見るとディスプレイには『万事屋』の文字!慌てて通話ボタンを押す。

「土方だ!」
『あ〜もしもし?土方くん?銀さんだけど』

のんびりと覇気のない声で話し出す万事屋を遮って声を荒げた。

「平賀源外が戻ってきたのか⁉︎」
『そうそう。んで…』
「すぐに行く‼︎」

プツリと通話を切り、オレはゆきを呼びに食堂へと走った。

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