第11章 No.11
それからゆきはおばちゃんに事情を話す。1か月くらいで元に戻れること。その間、万事屋が店の手伝いをすること。
「そうかい…。とにかくゆきちゃん、ひと月くらいなんだろ?なら、私、待ってるからさ。ちゃんと自分の体、取り戻しといで」
優しく笑うおばちゃんに、ゆきはポロリと涙を流すとバッと抱き着いた。
「女将さん、ありがとうございます!」
感動のシーン。しかし頬を染めて照れるおばちゃんのお陰で台無しだ。
「あらあら、なんだか土方さんに抱き着かれてるみたいだわ。うふふ」
どさくさに紛れてゆき(オレの身体)の背中に手をまわして抱き締め返すおばちゃん。
布団の上で成されているその抱擁は、もう『熟女とツバメ』にしか見えない。
冷や汗を流すオレの横で、万事屋が「おまえも大変だな」とポツリとオレに同情した。