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十四郎の恋愛白書 1

第8章 No.8


「テメェ、ゆきを呼び捨てにするたぁ、一億年早いんだよ!」

「テメェこそ、馴れ馴れしくゆきを呼ぶんじゃねえ!」

「オレとゆきは、馴れ馴れしい関係なんだよ!ゆきはオレだけの為に、神のマヨネーズを作ってくれてんだぞ!」

「ハン!彼氏でもねぇくせに、何が馴れ馴れしい関係だよ!それにオレだって、宇治銀時丼の餡子は手作りしてもらってるわ!」

オレと銀髪野郎はお互いの胸倉を掴みあって、ガンを飛ばし合った。

「ゆきがテメェみたいなプー太郎を相手にする筈ねぇだろ!」

「なにおー⁉︎そっちこそ、ゆきはテメェみたいなマヨラー、気持ち悪いに決まってる‼︎」

「あぁ⁉︎ テメェの餡子の方が気持ち悪いわ‼︎ ゆきはなぁ!いつもオレが土方スペシャル食べるの、嬉しそうに見てくれてんだよ!」

「はっ‼︎ 何が嬉しそうだ! オレなんか、ゆきとデートしたことあんだぞ!キスだってしてんだぞ!」

「は⁉︎ 何テメェ、ゆきに手ェ出してんだよ!オレだって小雪とキスくらいしたことあるわ!顔真っ赤にしてメチャ可愛かったっつーの!」

「テメェ、嫌がるゆきに無理矢理したんじゃねぇだろうな!この瞳孔全開野郎!」」

「んだと!死んだ魚みたいな目しやがって!テメェこそ無理矢理じゃねえか! オレ、見てたかんな!」

「アホ! あれは無理矢理じゃなくて、どさくさって言うんだよ!」

「どっちにしても、合意の上じゃねぇだろ!」

オレたちは至近距離で睨み合いながら怒鳴り合う。そろそろ小学生レベルのケンカになってきた時、遂にお互い、腰の獲物に手を掛けた。

「「表に出やがれ!」」

パシャッ!

「「 ⁉︎ 」」

突然頭に水がかけられ、オレたちはピタリと止まった。
パッと振り向くと、そこには白い割烹着のゆきが空のコップを2つ持って、プルプル震えて立っていた。
俯いているが、顔が真っ赤なのが分かる。
いや、顔どころか、ゆきの周りがなんだか赤く燃え上がっているような気がする。
要するにアレだ。メチャ怒ってる…?

「あ、あの、ゆき…」
「その…えっと、」

オレと万事屋は一気に青ざめ、ワタワタとゆきに向き直った。

瞬間、バチン!バチン!とオレたちの頬に走る衝撃。

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