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十四郎の恋愛白書 1

第1章 No. 1


「あら、ふふ。 土方さんが珍しいわね。 残念ながら、今さっき休憩に入っちゃったのよ。一時間は戻って来ないわ」

普段女に興味を示さないオレが、女の姿を探すのが余程珍しかったのか、からかい気味のおばちゃんの口調。
らしくなかったか、と少し焦る。

「いや、別にオレはマヨネーズの礼を言おうと思っただけで…!」
「ふふ、そう。なら明日また来て、お礼を言ってやってちょうだいな」
「…ああ」

目をカマボコ型にしてニヤニヤするおばちゃんを横目に、「ごっそうさん」とカウンターに小銭をジャラリと置いて、オレは店を出た。








あれから二週間。
オレは定食屋に行けず仕舞いだった。
ただでさえ昼飯時のみの営業しかしていないのだ。

オレは山の様な事務仕事や雑務に追われ、総悟からの襲撃をかわし、フラフラのところに攘夷志士アジトへの討ち入りし、挙げ句の果てにケガをして入院していた。

その後、無理矢理退院して屯所に帰ってきて、また溜まり溜まった書類と、更に総悟の襲撃と格闘し、そろそろオレ過労死すんじゃね?と思い始めた頃、やっと非番が取れた。


ウキウキと定食屋に向かって歩を進める。正直、この二週間、あの時のマヨネーズの味が忘れられず、夢にまで見たくらい焦がれていた。

あぁ、やっと愛しい〈神のマヨネーズ〉(オレ命名)に会える‼︎
もうオレは、普通のマヨネーズじゃ満足できないんだ‼︎ お前じゃなきゃダメなんだよ‼︎
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