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十四郎の恋愛白書 1

第6章 No.6


がくりと項垂れたオレの頭を、笑いながらゆきは再び撫で始める。
そしてしばらく考えてから言った。

「トシさんが昨夜、私のこと好きって言ってくれて、私とても嬉しかったんです」
「えっ、」

オレは顔を上げてゆきを見た。
ゼロだったHPが少し回復する。

ゆきはオレの頭から手を下ろし、恥ずかしそうに頬を染めてニコリと笑った。

「 ‼︎ 」

それって、それって、かなり脈アリってことじゃね⁉︎
もうちょっとでいけそうってことじゃね⁉︎

期待に目を輝かせたオレにゆきはクスリと笑う。

「トシさん、私まだ、トシさんのこと異性として好きかどうかわからないです。でも、一緒にいるとすごく楽しいです」
「オ、オレもおまえといると楽しい!」

オレが食い気味に返事すると、ゆきはクスクス笑った。

「トシさん、私がトシさんのこと好きになるように、頑張って下さいね」

そう言ってクリクリした瞳を上目遣いにしてオレを見る。
ああ、何その可愛い顔。更に『好きにならせてみせろ』なんて上からなゆきは珍しくて、なんというか、…そそる。
いつも天使なゆきの初めて見せた小悪魔な一面に、オレはクラクラした。

「お、おぅ!ぜってぇーにオレのこと好きにさせてやるから‼︎ だから覚悟しとけよ‼︎」

オレは再び真っ赤になりながら宣言する。
舞い上がり過ぎてカッコ悪くも声が上擦った。

ゆきはまたニコリと微笑むと、再びオレの掌をその白い手で包み込み氷を充て始めてくれた。

オレはそんなゆきを見ながら、今日は頭と手を洗わないでいようか、などと考えていた。

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