第19章 No.19
「ーー‼︎‼︎ 」
瞬間、ぶつかり合う凄まじい殺気。
激しい嫉妬と怒りで、オレは腰の刀を抜きかけた。
だが寸でのところでぐっと思い留まる。
…今万事屋に切り掛かったら、ゆきにもケガさせちまうかもしれねぇ。
柄をギリッと握り締め、刀を鞘に収めた。
ゆきは万事屋の胸に顔を埋めたまま震えていた。
万事屋はゆきを護るように抱き締め、オレに向かって木刀を構えている。
…これじゃあまるで、オレが悪役だ。
決してオレを見ないゆき。
潰れた筈の心臓が悲鳴を上げている。
奥歯を噛み締めると、クルリと二人に背を向けた。
逃げるようにその場を立ち去る事しか、できなかった。