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十四郎の恋愛白書 1

第2章 No.2


目を覚ますと、見慣れない白い天井。
ぼんやりした視界が次第にハッキリしてくると、自分が酸素マスクを付けてベッドに寝かされていることがわかった。

オレは助かったのか…。

腕には数本の点滴。
どれ位寝ていたのか…。
枕元のナースコールを手繰り寄せ押した。

職業柄、病院に世話になることは多い。
しかし今回はヤバかったらしく、医師、看護師共に、「あまり無理をしないでくださいね」とお小言をもらった。


オレは丸2日昏睡状態だったらしい。
内蔵も損傷していたらしく、とりあえず2週間の入院になった。
そしてオレが目を覚ましたと連絡を受けて、近藤さんがすぐに駆け付けてくれた。

「トシぃ‼︎ 良かった‼︎ 本当に良かったよぉ‼︎」

涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔。でも部下の無事を心から喜ぶ、オレ達の大将だ。

「近藤さん、心配かけてすまなかったな。だが、オレはどうやって助かったんだ?」
「う、ぐずっ…、総悟だよ、トシ。総悟が見回り中で近くにいたところに、一般市民の通報があり駆け付けたんだ」

近藤さんの言葉に瞠目する。

総悟がオレを助けるなんて…。
気を失う時に見たあの蜂蜜色は、見間違いじゃなかったんだ。

オレの驚いた表情を見た近藤さんは、ふと微笑んだ。

「総悟も、なんだかんだ言って、お前の事をちゃんと仲間として想っているんだよ」
「…近藤さん…」

近藤さんの瞳は、言葉は、いつも深い。

「そうか…。総悟にゃ礼を言わなきゃな」

いつもオレに襲撃してくる総悟。
でも、オレにとっても、総悟は大事な弟分なんだ。武州からの絆は伊達じゃなかった。





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