第5章 ~参半~BE LOVED2
「市丸隊長!戻って来てくれたんで…―――」
言い終らないうちに市丸隊長は私にに抱きついた
「また始まった…」
イヅルは毎度の事だと呆れていて、私もそう思っていた
市丸隊長は私を見ると、必ずと言っていいほど抱きついてくる
「イヅル~サラちゃん来てるなら言わんとアカンなぁ…ボクがサラちゃん好きなん知っとるやろ?」
「申し訳ありません…」
「それにしても嬉しいなぁ、サラちゃんボクの事待っててくれたんやろ?そんなにボクに会いたかったん?」
「市丸隊長…私は書類を届けに来たんです。直接隊長に渡さなければいけなくて…」
「ん?もぅ貰っとるけど?」
隊長の目線の先を辿ると、自分との間に書類をいれた封筒が見える
「……受け取るのは書類だけでいいんですよ」
私はそう言うと、離れようとする
「市丸隊長、これじゃ話しにくいので離して貰えますか?」
「…サラちゃんが名前で呼んでくれたら離したげる」
「……ギン隊長」
「………………」
隊長は返事をせず、代わりにより一層強く私を抱きしめる
「(子供みたい…)....ギン」
私は小さく溜め息を吐くと困ったように笑う
その声にギンは満足したのかやっと手を離した
「はい、これ書類です」
「敬語もアカンよ?」
「もう...」
呆れた私は返事の代わりにギンに笑みを浮かべると、踵を返す
「じゃぁ帰ります。イズルも定時まで頑張って」
「もう帰るのかい?」
「ちょっと用があって…ギンもさようなら」
「もうちょい居ってもえぇのに…そんなに急いでドコ行くん?男のトコやったりして…(笑)」
「(悪趣味だ...)またですか市丸隊長…」
ギンは黙ってニヤニヤしながらサラの反応を楽しむ
こうやって人をおちょくるのはギンの悪い癖だ
「まぁ…そんな所かな」
サラは全く動ぜずに隊舎を出ていった
その様子にギンは張り付けていた笑みを解く
「……あかん、男やってイヅル...どないしよ」
「(何処まで本気なんだか…)知りませんよ...」