第4章 ~参~BE LOVED
「待たせて済まない。」
「いや、押し掛けたのはこっちの方だ。東仙隊長」
浮竹は九番隊隊舎へ足を運び、九番隊隊長の東仙要に話を取り付けていた
「お前が外を出歩くなんて珍しいな…いつもは床に臥せているというのに」
「おいおいそう言うなよ…あまり病人扱いされても困るのだがな。今日は話があって来たんだ」
「私にか?」
「いや…そちらに檜佐木という隊士がいると聴いたのだが」
「檜佐木か…彼は現地へ長期の駐在任務に行っている」
「駐在任務だと!?そうか…」
明らかに項垂れる浮竹に東仙はふっと笑みを浮かべる
「話は最後まで聞け。丁度今日、帰って来る筈だ」
「本当か!?では待たせて貰ってもいいか?」
「何があったかは知らんが好きにするといい…私は仕事に戻るよ」
そう言うと東仙は部屋を後にした
数時間後―――
「――失礼します。檜佐木入ります」
扉が開くと長身に短髪、頬に刺青の入った青年が入ってくる
「(彼が…)いきなりすまないね。十三番隊隊長の浮竹だ。君が檜佐木三席…いや檜佐木副隊長かな?」
「いえ…戻ってきたばっかりですし任官の儀もまだなので。
…オレに何か話があるとか」
「あぁ…そうなんだ。君はハルカの幼馴染みだそうだね」
「そうですが...サラに何かあったんですか!?」
「……これは他言無用だ。話は長くなるが聴いてくれるね?」
浮竹は真剣な表情でこれまでの事を話し始めた。
虚襲撃、副隊長の死、それによってサラの心に深い闇を落とした事を...
「オレのいない間にそんな事が…」
「あぁ…それからサラはかなり無理しててね。副官が死んでからただの一度も泣けてないんだ…いつも無理して笑っている」
「…アイツは自分の為に泣いた事がありません。いつも他人の事ばっかで…」
「…頼む、俺には出来なかったあいつの笑顔を取り戻してくれないか?」
「…サラの為ならなんだって」
「有難う…俺は情けないな、部下を救う事も出来ない」
「いえ…アイツは貴方の様な人の部下で幸せだと思ってますよ」
一人の部下の為に自ら隊長が頭を下げにくるなんて
オマエはドコに行っても愛されるな
幸せ...
そうだろう…サラ?