第4章 ~参~BE LOVED
海燕さんが亡くなってから一ヶ月、周りはいつもの生活を取り戻していくなか、私は床に伏せる事が多くなっていた
たまに浮竹隊長が顔を出すも、私を気遣ってか何も言わなかった
「…私だ。入っても良いか?」
「どうぞ…」
ルキアの声に体を起こすと静かに戸を開け、ルキアが入ってくる
「…気分はどうだ?少し痩せたようだが...」
「駄目ねこんな事で…浮竹隊長にも迷惑を掛けてしまって。辛いのはルキアの方なのに…」
「確かにあんな事があって落ち込んでいたが…未熟者だからこそもっと強くならねばと思ってな…」
「頼もしいわね」
そう言うと私は力無く笑った
「私も先日隊へ復帰した。その…ずっと言いたかったのだが…この様な事になってすまない!!」
「...何故ルキアが謝るの?あなたがあぁする事で海燕さんを救ったのよ?何も…誰も悪くないわ」
「しかし海燕殿はサラの事を…サラも本当は海燕殿のことが―――」
「ごめんっ………ごめんね。もう少ししたらちゃんとするから…」
「サラ…」
ルキアは儚く笑うサラに、もうそれ以上何も言えなかった。いや、言えなくなった
サラ……
何故貴様は辛いのに笑っておるのだ?
海燕殿はサラにとってそんな存在だったのか?
海燕殿がどれだけサラを思ってきたのか貴様もあの夜知ったのだろう?
違う
サラは笑っているのではない
泣けないのだ
心の中では泣いている
表に出して泣けないのがどれだけ辛いことなのか
「…私は馬鹿者だな…」
ルキアが帰った後、私は海燕さんの事を考えていた
海燕さん…
十三番隊に入ってからいつも一緒にいた
友達のように気さくで
兄のように優しくて
父親のように頼もしくて
貴方といると心地よかった
そんな貴方はいなくなった
もう大切な人がいなくなるのは嫌なのに…
「海燕さん…喜助さん…」
私はどうしたらいいですか?
どうしたらこの苦しみから解放されますか?
そんな私の悲痛な考えに応えてくれる者は誰もいなかった