第4章 ~参~BE LOVED
必死の想いで走った
斬魂刀も持たず
寝着姿のまま
やっと辿り着いたそこには
ルキアの斬魂刀に貫かれた海燕さんの姿―――
私は声を出すこともできずにただただ立ち尽くしていた
「…海燕は――」
「…隊長…」
そう言った彼の声音は驚くほど穏やかだった
「…有難う御座いました…オレを…戦わせてくれて…」
「…ああ…」
「…朽木…オレの我儘につき合わせて…ヒデェ目に遭わせちまったな。悪い…キツかったろ」
海燕さんはそう言うと、自分を貫ぬいている刀を引き抜くと、フラフラと歩み出す。そして私の元へと近付くと、私を抱きしめる
「来ちまったか…サラ。ごめんな、置いて行っちまって…でもお前には危険な思いしてほしくなかった…」
「そんな…私は死神です。そんなのぜんぜ――」
ふいに唇に柔らかい感触が触れる
海燕さんに口付けられている事に気付いた私は長い口付けに頭が真っ白になる
海燕.....さん....?
そしてゆっくりと唇が離された
「オレな…お前の事愛してた……ずっと妹みたいだと思ってたのに…こんな事言ったら都に怒られちまうかな…」
私は何度も左右に首を振る
「ありがとなサラ…お陰で心は此処に置いて行ける…」
海燕はもう一度軽く口付けると穏やかに笑い体の力が抜け、二度と動く事は無かった
「海燕殿…イヤァァァ――――!!!」
ルキアが取り乱してくれたから
私は冷静でいられたのかもしれない
いや
なにも考えられなくなっていただけだ
何故
運命というのものは
こんなにも酷い結末しか
くれないのだろう
「海…燕――――」