第40章 ~拾玖~HOME
地下に足音が響く
深い階段を下りていくと重厚な扉の前に辿り着く
【真央地下大監獄】
重罪人を投獄している此処に来た理由、それは…
「お気をつけ下さい。厳重に捕縛してあるとはいえ相手は…」
「ええ、分かってる」
看守は頭を下げるとその場を去っていった
扉を開ける
重厚な音が響き、中へと歩を進める
備え付けられた椅子に入念に縛り付けられている人物
「やぁ…生きていてくれて嬉しいよ」
(藍染惣右介…)
笑みを浮かべた藍染に私は無表情のまま見つめ返した
「地下監獄最下層第八監獄“無間”にて一万八千八百年の投獄刑...実に滑稽だとは思わないか?この私にそんなものが意味があると本気で思っている奴らは実に滑稽だ」
「…反省していないの?」
「反省?この存在がある限り私は、まだ先へといける。死神如きにこの私が負ける筈がない。更なる高みへ私はまだ行けるのだ」
「なら...この先に進む価値は何処にある」
「...何?」
つらつらと弁舌を並べていた藍染がいい淀む
「崩玉を取り込んだ時...貴方はこうなることが分かっていたんじゃないかって」
藍染の見つめる中、私は言葉を続けた
「勝者は世界がどうあるべきか語らなければならない...」
藍染が僅かに反応を示す
「あの時貴方はこう言った。でも負けた貴方にそれを語る資格はない」
「黙れ...」
「貴方の力が生まれたときから飛び抜けていたなら、貴方はずっと自分と同じ目線に立ってくれる人を探してたんじゃない?
そしてそれが見つからないと諦めた瞬間から、貴方はずっと心の中でただの死神になりたかった」
「黙れ…黙れ黙れ黙れ黙れっっっ!!!!
お前が!!!お前さえ私の手を取っていれば!!!私はこうは成らなかった!!!!!!」
藍染の怒涛が木霊する
悲痛にも聞こえるその姿は最早、以前の面影など微塵もない
「愉しかったでしょ。善人には味わえないことだったから...貴方は負けたのよ藍染惣右介、貴方の刀には...」
孤独しかなかった
私は踵を返すと歩き出す
「う...ああああああああぁぁぁぁぁ.......!!!!!」
藍染の叫びが大監獄に響く
看守達が次々に藍染の元に向かうなか、私は一度も振り返らなかった