第39章 ~拾捌半~CRY2
力の無い指先でサラの頬を撫でる
「言うたやろ?ボクには感情は必要ないて...せやからボクなんかの為に...ボクを信じて泣いたらアカン...」
ギンの冷たい手をサラの涙が濡らしていく
とめどなく流れる涙は至極暖かく、ギンは笑みを浮かべる
「...信じて裏切られて痛い目見るやなんて、イヤやろ
....そやから...」
「やだ...嫌だ...ギン」
泣きじゃくるサラに胸の奥の空虚が埋まっていく
「お願いやから...」
ギンの手が降ろされる
「......ギン....?」
みるみるうちにサラの顔が崩れていく
胸に縋り付き、号泣する彼女にもう慰めの言葉もかけられない
ああ...
もうサヨナラや.....
微かに開かれた瞳はもう何も映さない
「サラ....」
微かに紡がれた言葉に顔を上げる
ギンの唇が何かを伝えるように動いていて、私はギンの顔を覗く
「...ギン?」
「―――――――――」
「ぇ.....」
ギンの瞳から涙が溢れる
「へ………やな…今さら…こんな……言う………て…も」
笑みを浮かべたギンから一筋の涙が零れた時、私は泣くのを辞めた
笑っている方がいいと言ってくれた彼に失礼だと思ったから
もう動くことの無い彼を長い時間見つめる
どのくらいそうしていたのか...
私は最後の涙を拭い歩き出した