第4章 ~参~BE LOVED
それから海燕は浮竹、ルキアと住処へと向かい、虚を発見した
「海燕殿、まずは私が出て様子を…」
「…隊長。オレ一人で行かせて下さい。朽木も黙って見ててくれ」
「…解った。気をつけろ」
海燕の気持ちを汲み取ったのか、浮竹は何も言わずに下がる
〈ヒヒッ!先ずはお前からか。え!?小僧…〉
「…戦う前にオメェに訊いておきたいことがある。今までに…何人の死神を喰らった?」
〈…はて。何人かのぅ… 悪いが数まで憶えちゃおらんよ〉
「それを…一度でも悔いたことはあるか?」
〈…愚問じゃのぅ小僧。儂とて主等と同じ心は有る。死神を喰ろうて悔いぬ夜などあるものか…今とてそうじゃ、昨晩の事を悔いておる…昨夜喰らい損ねた黒髪の小娘をな!!〉
「そうか… 」
海燕の目に冷たい光が宿ると、虚の体を掴み斬魂刀を解放した
「水天逆巻け【捩花】!!!」
海燕は斬魂刀を解放し、虚に斬りかかる
そして、海燕が虚に刀を振るおうとした時、突然刀が消滅する
「何!?…斬魂刀が消えた!?」
〈 一夜毎に一度だけの能力だ、その夜最初に儂の蝕腕に触れた者は斬魄刀が消滅する!!!〉
(バカな…ッ!斬魄刀を消滅させる…!?そんな能力が…!!)
ドッと血が溢れ海燕は吹き飛ばされる
「海燕殿!!!!」
ルキアは叫ぶと剣の鞘に手をかけ走り出す、が浮竹に腕を掴まれる
「隊長…!?お放し下さい!!海燕殿…海燕殿を助けなければ!!」
「海燕を助けて…それで奴の誇りはどうなる...お前が今力を貸せば奴の命は救われるだろう。だがそれは同時に奴の誇りを永遠に殺すことになる…」
「誇りが何だというのですか!?命に比べれば誇りなど…」
「…いいか、よく憶えておけ。戦いには二つあり我々は戦いの中に身を置く限り常にそれを見極め続けなければならない…命を守るための戦いと誇りを…守るための戦いと…!――
今…奴は誇りのために戦っている。妻の誇り、部下たちの誇りそして何より奴自身の誇りの為に…つまらん意地と思ってくれて構わん。奴を…このまま戦わせてやってくれ…!!」
ルキアは苦渋の表情で刀を納めた