第39章 ~拾捌半~CRY2
その叫びで緊張が緩んだ隊長陣に驚愕が走った
浴びている返り血を見る冬獅郎
「・・・・・・・・・・・雛森・・・!?」
藍染を刺した自身の刀は桃を貫いていて
「くそがっ!!!」
平子は顔を歪めギンから先程歩き出した桃の方を振り返った
視線の先には確かに息の根を止めた藍染の姿
桃を止めようとしていたイヅルと射場も、その状況に愕然とする
「・・・いつからや・・・」
涼しい顔をしている藍染に平子が声を怒りで震わせながら尋ねる
「いつから...?面白い事を訊くね。君は知っているだろう?
私の鏡花水月の能力は“完全催眠“。
如何なる時でも五感全てを支配し、あらゆる状況を錯覚させる事が出来る」
「せやから一体いつから・・・鏡花水月を遣うてたかって訊いてんねん!!!」
訊いても仕方ない事でも訊かざるを得ない状況に、死神達に焦りが見えているのは確実だった
「...ならばこちらも訊こう。一体いつから鏡花水月を遣っていないと錯覚していた?」
唇をかみしめる平子
冬獅郎はこの状況についていけずにいる
ただただ瀕死の桃を見つめていると、
「...シロ..ちゃん....どうして....」
「―――――――!!!!」
悲壮な声が追い討ちをかける
冬獅郎は次の瞬間、怒りで我を忘れ藍染へと単身飛び込んでいく
「待て日番谷隊長!!!」
京楽が叫ぶほど魂からそのまま飛び出た咆哮を上げ、突っ込んでいく冬獅郎に、私は悲痛な叫びを上げた
「だめっ………!!!!冬獅郎ッッッッ!!!!」
「...隙だらけだ」
藍染の声が紡がれた瞬間、斬り捨てられる冬獅郎、砕蜂、京楽そして平子…
動ける隊長達が一気に地面へとひれ伏した
真剣に、全力で闘う者達に向けられた行為。全ての者を奈落の底に叩きつけた非情
冬獅郎に至っては自分にとって最悪と思われるまさにその状況に私は必死に自分を保とうとする
震える躰を抑えるように自身を抱きしめた