第38章 ~拾捌~CRY
東仙はさらに異形の姿に変形していき、胸には孔、それはまさに虚の証
「視えるぞ・・・・!!!!フ・・・・・・・ははははははははははは!!視える視える視える視えるぞ!!!
これが空か!!これが血か!!これが世界か!!」
狂った様に繰り返す東仙に衝撃が走った
「...やはりあなたはもう東仙隊長じゃない...。眼が見えない時の貴方なら...この程度の一撃は躱していた。刈れ、『風死』」
始解した修兵の斬魄刀が東仙の頭を貫いた
相当な覚悟だと思う
眼を閉じ、口を結び、解号した修兵
こんな修兵は見たことがなかった
そして、
こんな悲しい闘いは
見たことがなかった
意識が混濁していた東仙が薄っすらと眼を開けた
「...檜佐木...」
その声は以前の東仙隊長のままで
「喋らないで下さい。虚の力のお陰で呼吸は出来ていますが、喉が裂けています。今はまだ喋らないで下さい」
「...檜佐木」
「駄目です隊長まだ―――」
「顔をよく見せてくれ...」
その言葉に修兵は口を噤む
「虚化の影響で今はまだ目が見えるのだ...今のうちにお前の顔を見ておきたい...」
東仙が穏やかな笑みを浮かべた瞬間、ドンッと衝撃音が響き、一瞬で修兵の目の前が血に染まる
「な………」
突然のことに言葉を失う
「.......隊長.....?」
呆然とする修兵
東仙は原型を留めるどころか、跡形もなく切り裂かれた
「隊長.....!!!」
修兵の悲痛な叫びが響く中、私は斬り裂いた主を見上げた
涼しい顔をして修兵を見つめる冷酷な姿
「藍染...!!」
もう辞めて…
もう
嫌 だ