第38章 ~拾捌~CRY
そうしているうちにも死神達と藍染達の攻防は続いていく
藍染の口上に乗ったひよ里が斬られる
「ひよ里!!!」
叫ぶ声は届かず、私は崩れ落ちる
(早く…早くここから出ないと…)
力の入らない手で何度も叩くが意味の無い行為。
虫の息のひよ里を抱える真子の顔が余りにも痛々しくて、思わず眼を背けてしまう
(東仙さん……修兵…)
背けた目線の先には対峙する東仙と修兵の姿
修兵の辛そうな顔が耐えられず、喉の奥が熱くなる
「驚いたな。藍染様が自ら前線に立たれるとは
藍染様が立たれたということは、いよいよ私も君達に真の力を持って向かわねばなるまいな...」
そして現れた異形な姿に誰もが愕然とする
「....虚化....それは...それは虚化ですか、東仙隊長...!!」
「そうだ」
「......どうして...」
その矢先、東仙は何の躊躇いもなく、修兵を斬りつけた
「修兵っっっ!?」
藍染に唆されたのか?
それとも完全催眠にかかっているのか…違う。仲間を裏切り、部下を裏切ってまでも過ぎた力を手にしようとするまでに藍染に心酔している
まさに堕落
しかし修兵は倒れる事なく、東仙の喉元を抑えつける
「...踏み込みが浅かったか。私も甘いな」
「...いえ、俺が反射的に半歩躱したんです。剣を抜いて立つときは常に半歩躱せるように構える...東仙隊長、あなたの教えです。
...俺は...俺には解りません、東仙隊長...。何故力の為に全てを捨てたんですか...!今のあなたは...一体何を怖れていると言うんですか!!」
返答としてやったのは、元部下への一突き
腹部を刺された修兵は崩れ落ちる
「...東..せん...隊長....」
「...怖れているさ。
私の恐怖は百年前からお前達死神と同化して死ぬことだ」
「修兵!? やだ...修兵っ!!!」
何度も何度も聞こえるはずもない名前を呼びながら、膜を叩く
ボタボタと手から落ちる血は
修兵の涙のように