第38章 ~拾捌~CRY
「もう起きてもた」
突然の声に振り向くとそこには腕を組んだギン
「まだ寝とったら良かったのに…起きんようにこれでもかって打ったのに」
「ギン……これを解いて!!」
私が口をパクパクさせているのに気づいたギンはああ、と笑みを浮かべた
「ああ、それ反膜で作った結界、しかも中からはどんだけ叫んでも聞こえへん。やから叫ぶだけムダ…それに…力入らへんやろ」
確かに、弛緩剤を打たれたのとは別に力が出せない
霊圧が…
「その膜が霊圧を吸収してまうんや。ま、そうでなくても斬魄刀持たんサラちゃんが、皆助けにいっても…ね♪」
その言葉にサラの瞳に悲壮感が漂う
ギンはそれに気づいたのかそうではないのか、視線を前に向けた
転界結柱(てんかいけっちゅう)…
急に聞きなれない言葉を口にしたギンに目を細める
「”転界結柱(てんかいけっちゅう)て言うて、東西南北、四点のポイントを結ぶことで半径一霊里に及ぶ巨大な穿界門となる『転界結柱』という装置を作り、それを空座町の四方に設置した」
「………?」
「転界結柱が穿界門と異なるのは包囲したものを尸魂界にある別のものと移し替えることができるということ
せやからコレはニセモノ。ダミーの空座町やから、存分に戦っても大丈夫…らしいで?」
何でこの人はこんな事を言うのだろう
不安を煽っておきながら言ってる事は慰めてるようにも聞こえる
「ギン…」
「こんなけったいなコト出来はる人ってどんな人やろうなぁ?」
私は一人の人物を思い浮かべる
マユリさんが虚園に閉じ込められた今、それが出来るのは一人しかいない
「喜助さん…」
サラの瞳から悲壮が消えたのを横目で確認すると、ギンは離れ藍染の元へ向かっていった