第38章 ~拾捌~CRY
瞼が重い
体の自由がきかない
(私...)
私はそこでハッと目を見開いた
地面が反転して見える
そこで、自分が地面に伏せているのだと悟った
力を入れる
痺れはあるもののどうにか起き上がれた
そして目の前に広がる光景に息を飲んだ
(ここは…空座町?)
自分は一体どのくらい意識がなかったのか、その惨状が物語っている
幽閉された隊長以外の隊長格が全員揃い、そして破面の軍勢まで…だが皆、ボロボロで五体満足ではない者も
「乱菊…桃…」
かろうじて息があるものの腹部から切り裂かれていて
他の隊長達も深手を負っている
駆け出そうとすると、見えない壁に阻まれる
「何…これ…」
どの方向にも進めない
そこで何か結界のようなものに入れられているのだと気付く
(どうにかして此処を脱ないと…!!)
そこで私は初めて自分の斬魄刀が無い事に気が付いた
「月華…」
仰ぎ見ると、藍染の腰に月華が差さっている
「藍染…」
私はグッと唇を噛み締め、藍染を睨みつけた
藍染はちらりと横目で私を一瞥すると、フッと笑みを浮かべた
私は憤りを隠せず何度も反膜の壁を叩く
びくともしないそれを何度も何度も叩く
だが私の手に血が滲むだけで何も変わらなかった
死神達が傷つくのと同時に、十刄達も数が減っていく
三人…二人…一人………
始解した春水さんと対峙していたスタークが地面へと落ちていく中、躰が塵と化していく
その瞬間、スタークがこちらを見つめ、笑みを浮かべた
「――――!!………スターク…」
私は…
私は何もせずにただ見ているだけしか出来ないの!?
ただ何もせずに皆が傷ついていくのを…