第38章 ~拾捌~CRY
「ボクには感情は必要ない…ボクがあの人の部下になった時からボクの運命は、二つしかない」
あの人にとって必要か、そしてそうでないか
今日必要とされても、明日もそうだとは限らない
全てはあの人が決めること
「そこにボクの感情なんて差し挟む隙なんかあらへん。だから......なんで泣くん?」
そう訊かれるまで私は泣いている事に気付けなかった
ギンが近づき私の頬に手を添えた瞬間、私はギンに縋り付いた
「ギン…もうやだ…こんなの…おかしい…」
「おかしくない」
「ギンの事わからないんじゃない…感情を押し殺すギンが、勝手に存在意義を決めてしまうギンが…赦せない…」
「うん…」
「私にとってギンは綺麗で…いつだって優しかった…」
「ホンマ...アホやな...絶対に泣かへん言うてたのにこないグシャグシャな顔して…」
でも…
サラの顔を上げる
大粒の涙を流すサラの顔が偽月に照らされる
ホンモノやなくても
ココにあるのは紛れもない事実
「ホンマ...サラちゃんもボクも阿呆や...」
そう震える声で呟いたギンは唇を重ねた