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月に泣く~BLEACH~

第38章 ~拾捌~CRY


それから暫くの間、冷戦が続いていた
闘いが起きていないと錯覚するほど静かな日々


でもこうして同じ世界に一護達がいると思うと安心できる
私は来るべく日が来るまで、信じて待つと決めた


月華はこの手の中にある
大丈夫


陽のないこの世界では毎日が夜
体内時計も狂ってしまうんではないかと思う程の暗闇に、唯一光る偽月


私は寝台からそれを見上げていると、ふいに衝動に駆られた


本物ではない月
だが手を伸ばしたくなる


もっと間近で見ようと部屋を出ると、砂の拡がる荒野へと歩いていった


適当に歩いておもむろに足を止める
そしてただボーッと偽月を眺めていると、ふいに気配を感じ、振り向いた


「ギン…」


少し離れたところにギンの姿を見つける
こちらに気付いていないのか、ギンも同様に月を眺めている


私は引き寄せられるようにギンの元へと歩いていった


「...珍しいなぁ?こんなトコで会うやなんて」


ギンは振り返ると、驚きもせずに私を見た


「月を、見てたの。…ギンは?」


「ボクも同じ。ココは監視の映像も届かへんから。ずっと見られとったら息詰まるやろ?せやから息抜き」


「そう…」


それだけ言うと私は口を噤んだ


ギンを見つめる
ギンの淡麗な顔が月明かりに照らされ、儚く見える


それは今にも消えそうに思えて
私は思わずギンの袖を掴んでいた


「………どないしたん?」


「ぁ...」


どうしてなのか
私は言葉に詰まって瞼を伏せる


その様子を可笑しく思ったのか、ギンはフッと笑うと、私の頬に手を添えて顔を上げさせた

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