• テキストサイズ

月に泣く~BLEACH~

第37章 ~拾漆半~SHAKY2


自室へと戻ると、私は眼を閉じた


先程のことを思い出す



「お帰りサラ」


藍染には何もかもお見通しなのか
笑みを浮かべるこの人に対して抑揚のない瞳で見つめると、私は月華を差し出した


「ああ、それか。グリムジョーが勝手にしたことだ。君がそんな顔をする必要はない」


そう言って受け取ろうとしない藍染に、困惑していると、


「持っていてくれて構わないよ」


思わぬ内容に眼を見開く


「君は私が何も言わなくとも差し出した。だから構わない。君が勝手にその力を使うとは思えないからね。そうだろう?」


「………」


「それに君は分別をわきまえてる。今それを使うとどうなるか、はたまた使わなければどうなるか…」


黙ったまま弁舌を訊いていると、藍染が立ち上がり私の頭を撫でた


「急に連れ出されて疲れただろう。今日はゆっくり休むといい…早くその汚れた服も着替えたいだろう」


私の服にはグリムジョーの血が付いていて


汚れた


その言葉に嫌気がさして、私は頭に乗せられた藍染の手から逃げるように部屋を後にした


眼を開く
だがすぐに閉じて、意識を追いやった
そしてポツリと呟く


「月華…」


途端に精神世界に引きずり込まれる


眼を開くと、目の前に月華が立っていて、月華は黙ったまま私の気持ちを汲み取るように抱き締めた


「月華…」


《何も言わなくていい…》


「キツイ…」


《うん…》


皆の恐怖が入り込んでくる
耳を塞ぎたくなる
眼を閉じたくなる


自身の中の恐怖をあの人が支配する


「助けて...」


《僕はいつでも君の傍にいる...だから...耐えて》


本当はこんな事言うのは酷だ
だってサラはずっと耐えてきてるから


一人で必死に


サラは優しいから死神だけでなく
虚の気持ちまで汲み取る
だから余計に圧しかかる

でも今潰される訳にはいかない
だってサラの、僕の能力はーーー


「ごめんね月華…もう大丈夫」


サラは微笑んだ
月華も黙ったまま微笑む


修羅の道に自ら飛び込んだサラは、自分で其処から出なければならない


《サラ...僕の主が君で本当に良かった》


月華の言葉にスッと眼を開く
その瞳は真っ直ぐに前を見据えていた

/ 721ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp